■タンパク質はどこで補強? ヒントは牙一族&巨大動物たち

 筋肉ムキムキの体を作るためには、タンパク質は欠かせない。当然、『北斗の拳』の世界ではプロテインなどは存在しない。では荒廃した世界で、彼らはどのようにタンパク質を補給していたのだろうか。

 この謎を解くヒントを与えてくれるのが、牙大王をボスとした野盗集団「牙一族」である。彼らが身に着けている大量の毛皮は、何かの野生動物から剝ぎ取ったものと推測される。あれだけの毛皮を調達するには相当多くの動物を狩る必要があり、その肉をタンパク源として摂取していた可能性が考えられる。

 また、北斗神拳の次期後継者を決める修行時代、ケンシロウとラオウのどちらが後継者にふさわしいのか、野生の虎を使って決めるシーンがある。ここに登場した虎は、現代の虎とは比較にならないほどの巨体であった。さらに、ラオウの愛馬・黒王号も尋常ではないサイズを誇る。

 自然淘汰の結果か、はたまた核戦争の影響か……その真相は定かではないが、この世界に存在する動物は異常に巨大化している。これらを踏まえると、登場人物たちは日頃から巨大な生物を捕獲して動物性タンパク質を摂り、あのようなマッチョ体型を維持していたと考えるのが自然だろう。

■唯一豪華な食事を食べていたのはあの男…

 しかし『北斗の拳』では、豪華な食事によって強靭な肉体を作ったと思われる男も存在する。それが、南斗鳳凰拳の伝承者・サウザーだ。

 自らを「聖帝」と名乗る彼は、子どもたちを奴隷として酷使し、贅沢な日々を過ごしていた。作中の食事シーンでは、長いテーブルに所狭しと並べられた御馳走の前に座り、鳥の丸焼きやスープ、サラダ、デザートといったフルコース以上の料理を独占していた。

 毎日これだけの料理を食べていれば、驚異的なバルクアップはもちろん、下手したら肥満のリスクもあるだろう。

 もっとも、サウザーは食事の途中で「口にあわぬ!!」と一喝し、テーブルごと蹴り飛ばしている。「退かぬ、媚びぬ、省みぬ」を貫く彼にとって、食事とは栄養補給以上に、自らの絶対的な権威を示す大切なポイントだったのかもしれない。

 

 サウザーのような一部の権力者を除き、『北斗の拳』の登場人物たちは極めて劣悪な栄養環境に置かれていたことが分かる。たとえ巨大な動物を狩っていたとしても、栄養バランスは偏っていたはずだ。

 それでもなお、あのようなマッチョな体型を維持し、凄まじい剛拳を繰り出す北斗神拳の伝承者たち。もしかすると彼らは、呼吸法によって空気中のわずかなエネルギーさえも吸収できる、超人的な代謝システムを構築しているのかもしれない……。

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