結局ふたりはどうなったの? 『眠れる森』に『高校教師』、『FiVE』も…視聴者委ねとなった「90年代ドラマのラストシーン」の画像
木村拓哉  写真/ふたまん+編集部

 往年のテレビドラマには、物語の結末をあえて明確に描かず、主人公の生死やその後の運命を視聴者の想像に委ねる作品もあった。インターネット上では今なお「あのあと、主人公は助かったのか、それとも……?」という熱い議論が交わされる名作も存在する。

 特に1990年代に放送されたドラマでは、最終回に主人公が命を落としたかのような、謎めいたラストシーンも多くあった。果たして彼らは死をもって物語を完結させたのか、それとも困難を乗り越え新たな人生を歩んだのか。

 今回は、1990年代の名作ドラマの中から、視聴者の解釈に委ねられた伝説的な終幕を振り返りたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■彼女が待つ森に彼はたどり着けたのか…『眠れる森』

 1998年10月からフジテレビ系列で放送された『眠れる森 A Sleeping Forest』は、野沢尚さんが脚本を手掛けた珠玉のミステリーサスペンスドラマだ。

 物語は、幼い頃に家族を惨殺された記憶をなくしている大庭実那子(中山美穂さん)と、彼女の過去の秘密を握る謎の男・伊藤直季(木村拓哉さん)を中心に展開する。

 最終回ですべての事件の元凶であった犯人が判明したあと、直季は実那子との約束を果たすべく、彼女が待つ「中之森」へと向かう特急列車の座席に座っていた。

 車内では少女からもらったオレンジを手に、窓の外に流れる景色を眺めていた直季。しかし、目的の中之森駅に到着しても彼は降りなかった。直季は目を閉じ、一筋の涙をこぼしたまま、深い眠りについたかのように動かなくなったのである。

 犯人が捕まったあと「再会のやり直しをしないか」という手紙を実那子に送っていた直季。実那子もまたその想いに応え、2人で生きていくことを決意し、ハンモックの上で眠りにつきながら、彼が来るのを待っていた。

 ようやく掴みかけたはずの幸福を目前にして、あまりにも切ない直季の沈黙。このラストシーンは、当時の視聴者に大きな衝撃と喪失感を刻み込んだ。彼らの“その後”は、描かれていないが、2人の再会が果たされたことを願った人は多いだろう。

■赤い糸で結ばれた二人の最期は…!?『高校教師』

 1993年にTBS系列で放送された『高校教師』は、主人公の高校教師・羽村隆夫(真田広之さん)と、その生徒・二宮繭(桜井幸子さん)の禁断の愛を描いた衝撃作だ。本作は重いテーマを扱いながら究極の純愛を描き出し、最高視聴率33%を記録する社会現象も巻き起こした。

 ラストシーンにおいて、羽村と繭は逃避行の末に列車に乗り込む。2人は互いの小指を赤い糸で結び、寄り添いながら静かな眠りにつく。そんな2人に対し、車掌が「コートが落ちていますよ」と話しかけるが、反応はない。やがて繭の手が座席から力なくぶらりと落ち、画面には「終」という画面が表示されるのだ。

 この衝撃的な幕切れに対し、視聴者からは「心中したのではないか」という憶測が殺到した。繭が窓ガラスに描いたであろう「2匹の寄り添う猫」のイラストは、現世からの旅立ちを予感させる象徴的なものでもあった。

 本作の脚本を担当した野島伸司さんは、のちのインタビューにて“あえて答えを出さない手法を取った”と明かしている。野島さん本人の中には結論があるものの、正解は視聴者の判断に委ねたいという意図であった。

 当時視聴していた筆者的には、当時の状況下で2人が生き延び、社会に受け入れられる未来を想像するのは難しく、やはり死をもって永遠の愛を完成させたという解釈なのではないかと考える。いずれにせよ、本作は数あるドラマの中でも、観る者に永遠の謎を残した衝撃的な作品であった。

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