いまや日本を代表する大人気作品『名探偵コナン』。密室トリックや鉄壁のアリバイ、暗号といった謎解きが満載の本作は、子どもから大人まで楽しめる本格ミステリーが最大の魅力である。
犯人を推理する楽しみもある作品で、主人公・江戸川コナンと一緒に事件を追うスリルを味わう読者も多いだろう。しかし、中には思わず「おまえの仕業かよ!」と叫びたくなるような、予想外の展開が待ち受けるエピソードもある。
今回は、そんな意外な真犯人に驚かされるエピソードを振り返っていこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■あの2人の初登場回「江戸川コナン誘拐事件」
初期の名エピソードとして知られるのが、原作コミックス第5、6巻収録の「江戸川コナン誘拐事件」だ。この事件は、「コナンの母親」を名乗る女が毛利探偵事務所に現れ、コナンが誘拐されるという衝撃の展開から幕を開ける。
物語は序盤から不穏な雰囲気に包まれている。突如現れた「江戸川文代」と名乗る人物が、コナンを抱きしめ「ママと一緒に帰りましょう」と迫るのだ。突然のことにコナンは動揺を隠せない。
それもそのはず、「江戸川コナン」は工藤新一が幼児化したことを隠すために作った架空の人物であり、そのコナンに母親がいるはずもない。しかし、毛利蘭や毛利小五郎が見ている手前、その事実を明かすわけにもいかない……。
コナンは仕方なく文代についていくが、彼女はコナンの正体を知っている素振りを見せる。そこから彼女が黒ずくめの組織の仲間だと察知したコナンは、すぐさま逃走。しかし、すぐに捕まって廃屋に監禁されてしまう。
そこには文代だけでなく、黒幕らしき不気味な仮面の男もいた。彼は新一を幼児化させた毒薬を持っており、その効果を他の人間で実験した後、その人物とコナンを殺害するつもりだという。
コナンは彼らの計画を阻止すべく、再び監禁場所から抜け出す。しかし、仮面の男のほうが一枚上手であった。最後は銃を突きつけられ、絶体絶命の状況に陥ってしまう。しかし、銃声が鳴り響き、コナンが死を覚悟したその瞬間に、事の真相が明かされる。銃はおもちゃで、仮面の男もその正体を現したのだ。
男の正体は、新一の父親で世界的な推理作家の工藤優作。そして江戸川文代を名乗っていたのは、伝説的な女優だった母親・工藤有希子が変装した姿だった。しかもこれが、彼らが正式に登場した初めてのエピソードである。2人は海外から帰国して新一の現状を知り、危ないことに首を突っ込みがちな息子を諭すため、大がかりな芝居を打ったのだった。
コナンの行動を先読みし、手玉にとる優作の圧倒的な推理力が際立つエピソードである。あのコナンに「まー探偵としては合格スレスレだな…」と言い放つ姿も印象的だった。まさかの新一の両親の登場、しかも彼らが“犯人”だという展開は、連載当時の読者にとってまったく予想できない衝撃的なものだった。
■ホラー演出も怖かった「帝丹小学校七不思議事件」
コミックス第16巻収録の「帝丹小学校七不思議事件」は、ホラー要素も含まれるエピソードである。コナンら少年探偵団が深夜の学校に忍び込み、帝丹小学校に伝わる七不思議の謎に挑む物語だ。
石膏像の呪い、走る人体模型など、不気味な噂が流れる帝丹小学校。そんな中、吉田歩美が夜の学校で怪しい人影を目撃し、そのことを相談した教頭先生が行方不明になってしまう。他の教師の不自然な反応から何かあると睨んだコナンは、謎を解くべく夜の学校に忍び込むことを決意する。
工藤新一として6年間通った、勝手知ったる学び舎への侵入はたやすい。もちろん、歩美と小嶋元太、円谷光彦の少年探偵団の3人もついてきており、深夜の小学校での冒険が始まる。案の定、校内では次々と不可解な現象が起こる。
「小嶋」の名札がついた首の取れた人形、ひとりでに動く人体模型、謎の煙、手すりを流れる赤い液体……。不気味な出来事の連続に探偵団は恐怖するが、コナンは何者かが夜の学校で奇妙なことをしていると確信する。
一連の怪奇現象の犯人として浮上したのは、学期途中で新しくコナンたちの担任になった小林澄子。彼女は厳しい態度から子どもたちに怖がられていたが、実は心優しく子ども好きな先生だった。しかし、過去の参観日に緊張のあまり大失敗したトラウマから、心を鬼にして厳しく接していたのだ。
彼女は、次の参観日を成功させるため、人形や人体模型、石膏を相手に予行演習をしていたのだった。小林先生が生徒への想いを打ち明け、事件は温かい結末を迎えたかに思われた。
しかし、少年探偵団を怖がらせていた犯人は別にいた。それは、休みが続いていた教頭先生本人である。彼は校内で大事なカツラをなくし、生徒がいない夜中にこっそり探し回っていた。それを知られたくないがゆえに、コナンたちを脅かして家に帰そうとしていたのである。
事件の発端となった人物が真犯人とは、まさに先の読めない展開だらけのエピソードだった。


