■期限付きの恋が映した、ひたむきな純愛『僕の初恋をキミに捧ぐ』種田繭

 2009年公開の映画『僕の初恋をキミに捧ぐ』では、青木琴美さんによる人気漫画のヒロイン・種田繭を演じた。

 本作は、心臓病で“20歳まで生きられない”と宣告された幼馴染・垣野内逞(岡田将生さん)をひたむきに愛し続ける純愛ストーリーだ。

 親友の事故やドナーを巡る過酷な現実に翻弄されながらも、最後まで逞を想い、その手を離さない繭。その一途でひたむきな姿は多くの観客の涙を誘い、人を愛することの尊さ、生きることの重みを力強く問いかけた。

 劇中で井上さんは中学生から高校生までを演じているが、撮影当時は大学を卒業した直後のタイミングだった。そのため、本人は制服姿に“ちょっと複雑な気持ち”を抱いていたようだが、その戸惑いとは裏腹に作中での彼女は実に爽やかで可愛らしかった。

 彼女が持つ可憐な雰囲気と透明感が、繭というキャラクターの魅力を存分に引き出しており、芯の強い笑顔があったからこそ、ただ悲しいだけの物語に終わらない希望を作品に与えたのだろう。

■国際結婚の幸せと葛藤を等身大で『ダーリンは外国人』さおり

 最後に紹介するのは、2010年公開の映画『ダーリンは外国人』。小栗左多里さんのコミックエッセイを原作とした本作では、国際結婚に奮闘する主人公・さおりを演じた。映画では、異なる文化を持つ2人が「結婚を決意するまで」の心の機微にスポットを当てられている。

 公開当時、井上さんは23歳。それまで学生役のイメージが強かった彼女にとって、本作は実年齢に近い等身大の女性を演じる大きな転換点となった。

 当時のインタビューにて井上さんは、「人妻!? って思いました(笑)。つい最近まで初恋ものばかりやっていたのに、急に飛んだなあって」と振り返っている。だが、台本を読み込むなかで、結婚へと向かう日常の幸せや葛藤を描く物語に強い共感を覚えたという。

 劇中では、語学オタクのアメリカ人・トニー(ジョナサン・シェアさん)との文化や価値観の違いに驚き、悩み、父親の反対や自身の夢に悪戦苦闘しながらも、二人三脚で結婚へと踏み切るまでの道のりが描かれる。

 葛藤を抱えながらも懸命に前を向くさおりの姿には、国際結婚という枠組みのみならず、同年代の女性たちが自分自身の日常を重ねて応援したくなるような、確かな説得力が宿っていた。

 

 学園の独裁者に立ち向かう少女、妖怪を支える女子高生、余命わずかな恋人に寄り添う幼馴染、そして異国のパートナーと歩む女性。振り返ってみると、漫画やエッセイといった原作の世界観を尊重しつつ、井上真央さんが体現してきたヒロインは、どれも鮮やかで最高に可愛らしかった。

 最新ドラマ『再会〜Silent Truth〜』で見せているのは、相変わらずの可愛らしさに加え、大人の俳優としての深みを増した現在の姿だ。進化を続ける彼女の活躍から、これからも目が離せない。

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