■中枢神経を破壊する15本の突き…蠍座のミロ「スカーレットニードル」

 蠍座(スコーピオン)のミロが白鳥星座(キグナス)の氷河との戦いで披露したのが、必殺技「スカーレットニードル」だ。これは人差し指の爪から放たれる鋭い衝撃が相手の体に小さな穴を打ち込む技で、蠍の毒が全身に回るような凄まじい激痛を伴う。

 ミロが言うには、人間の中枢神経を刺激し、激痛とともに全身を麻痺させる効果があるという。特徴的なのは1発で致命傷を与えるのではなく、蠍座を形成する15個の星のように15発の突きを順に打ち込んでいく点だろう。

 これは15発を打ち終えるまでの間に、相手に「降伏か死か」を選択させる猶予を与えるためらしく、受ける側にとっては拷問のような技である。通常であれば、途中で精神に異常をきたすか、絶命に至る技だが、氷河は最後まで戦う意志を貫いた。

 ミロが最後の一撃を放とうとした瞬間、これまで氷河が放ち続けた「ダイヤモンドダスト」の凍気がミロの足元を凍らせ、動きを封じる。その隙をついて氷河は「ホーロドニースメルチ」を放つも、すでに感覚を奪われつつあった彼には、ミロを倒すだけの力は残っていなかった。

 当初、ミロは親友である水瓶座(アクエリアス)のカミュの弟子でもある氷河を死なせたくないと考えていた。だが氷河の決死の覚悟を受けとめ、全力で最後の「スカーレットニードル・アンタレス」を打ち込む。

 このとき小宇宙を極限に高めた氷河は、相討ち覚悟でミロの急所である15の星命点を一瞬で突くことに成功。ミロは、黄金聖衣でなければ敗北していたのは自分だったと認め、血止めの急所「真央点」を突き、彼の命を救うのであった。

 作中屈指の冷酷な技ではあったが、それと同時にミロの騎士道精神が垣間見える印象的なシーンだ。

 

 さて、この他にも牡羊座(アリエス)のムウや、教皇として君臨した双子座(ジェミニ)のサガなども超強力な必殺技を持っていた。

 また、忘れてはならないのが、山羊座(カプリコーン)のシュラの「聖剣(エクスカリバー)」だ。これは手刀であらゆるものを両断するというシンプルな技だが、シュラの体術と組み合わさることで、回避不能な斬撃となる。当時、これに憧れた少年たちが紙を手刀で切ろうと真似をしたのも、よい思い出といえるだろう。

 連載開始から40年。黄金聖闘士たちの放った強烈な個性と圧倒的な威力を秘めた必殺技の数々は、今なお色あせることなく読者の記憶のなかに残っている。

  1. 1
  2. 2
  3. 3