■豆腐メンタルで打たれ弱い「ビッグ3」

 2014年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まった堀越耕平氏による『僕のヒーローアカデミア』。2024年に惜しまれながらも連載は最終回を迎え、10年に渡る歴史に幕が下ろされた。

 その『ヒロアカ』において、圧倒的な実力を持ちながらメンタルが弱いキャラの代表格が、雄英の「ビッグ3」の1人である天喰環(あまじきたまき)だ。彼の個性「再現」は、食らったものに体を変えられるというもの。

 その個性によって、体の大きさや重さを自在に変えられるうえに、生物が持つ毒なども再現可能。また一度に複数の特徴を再現でき、その組み合わせから生まれる応用力は無限ともいえる。

 しかも食らうのは食材だけにとどまらず、「ビッグ3」の紅一点・波動ねじれのキャノン砲を食らうことで「波動砲(プラズマキャノン)」を放つこともできる。

 これだけ聞くと、強い部分しかない天喰だが、メンタル面に問題を抱えており、波動からは“ノミの心臓"と称されたほど。

 ビッグ3初登場のシーンでは、下級生を前にしながら「頭が真っ白だ… 辛い…」「帰りたい………!」と背を向ける始末。またあまりのメンタルの弱さから、BMIヒーロー「ファットガム」の激励アドバイスを“パワハラ”と解釈していた。

 そんな超ネガティブな天喰だが、指定敵(ヴィラン)団体のひとつである「死穢八斎會」のメンバー3人を単独で倒すなど、腹をくくれば圧倒的な強さを発揮する。メンタルの弱ささえ克服できていれば、作中でもっと活躍していた可能性が高い。


 善逸の臆病ぶり、ノヴの変わり様、天喰のネガティブ思考……劇中で本来の実力が発揮できなかった場面は、やはり精神面の弱さが大きな要因といえるだろう。実際、漫画やアニメの主人公には実戦に強いタイプが多く、ぶっつけ本番で本来の実力以上の強さを発揮するケースも目立つ。

 だが、もともと強いのに肝心な場面でメンタルの弱さを露呈してしまうキャラにこそ、人間的な魅力を感じてしまう読者も多いのではないだろうか。

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