『超新星フラッシュマン』に『鳥人戦隊ジェットマン』、『五星戦隊ダイレンジャー』も…『スーパー戦隊シリーズ』史に残る最終回での「まさかのバッドエンド」の画像
DVD『鳥人戦隊ジェットマン』Vol.5 (C) 東映

 現在放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』をもって、「スーパー戦隊シリーズ」は50年の歴史に1つの区切りを迎えようとしている。1975年の誕生から半世紀、子どもたちに夢と勇気を与え続けてきた物語が完結する今、あらためて注目したいのが、ハッピーエンドという“お約束”を鮮やかにくつがえしたシリーズ屈指の「衝撃の最終回」だ。

 誰もが信じて疑わなかった勝利の先の幸せ。しかし、死闘を勝ち抜いたヒーローたちを待っていたのは、あまりにも非情で切ない幕切れだった。

 今回は、今なおファンの間で語り草となっている伝説的な「バッドエンド」3作品を振り返っていきたい。

 

※本記事には、各作品の核心部分の内容も含みます。

 

■ 家族と抱き合うことすら許されず、再び宇宙へ『超新星フラッシュマン』

 まずはシリーズ第10作、1986年から放送の『超新星フラッシュマン』だ。本作の主人公は、幼い頃に宇宙の果てへさらわれ、過酷なフラッシュ星系で育った5人の若者たち。彼らは改造実験帝国メスによる地球侵略を阻止するため、故郷に帰還する。長く厳しい戦いの中で常に彼らを支え続けたのは、実の両親との再会という切実な願いだけだった。

 物語終盤、最大の転換点が訪れる。メンバーの1人であるサラ(イエローフラッシュ)が、地球で彼らを支援していた時村博士の実の娘だと判明したのだ。ついに親子が再会を果たし喜びあえる……そう確信した矢先、残酷な運命が立ち塞がる。

 長年の異星生活に適応したフラッシュマンの体は、故郷である地球環境そのものを拒絶する「反フラッシュ現象」を起こしていたのである。

 そして最終回「さらば!故郷の星」。滞在期限のタイムリミットが刻一刻と迫る中、最終決戦に挑むフラッシュマン。追い詰められた宿敵リー・ケフレンは、「地球にいられる体に作り変えてやる」と、反フラッシュ現象を治療できる悪魔の機械「遺伝子シンセサイザー」による取引を持ちかける。

 しかし、サラは正義を優先し、数多の命を弄んできたその装置を自らの手で破壊。帝国メスは滅びたが、地球にとどまる唯一の希望が断たれた瞬間でもあった。

 激闘を終え、勝利の余韻に浸る間もなくフラッシュマンたちの体は限界に達する。地上から時村一家がサラの名を呼ぶも、5人は言葉を交わすことさえできぬまま、宇宙船へと収容されていった。

 宇宙に消えていく宇宙船を見送る家族と、船内で再びコールドスリープにつく戦士たち。故郷である地球を救いながら、肉親と抱き合うことすら許されずに宇宙へ去る幕切れはあまりにも悲しく、「スーパー戦隊シリーズ」屈指の悲劇的な最終回となった。

■ 親友の門出、些細な悪意が英雄の命を奪う『鳥人戦隊ジェットマン』

 次に紹介するのは、シリーズ第15作、1991年から放送の『鳥人戦隊ジェットマン』だ。戦士たちの恋愛模様を濃密に描き「戦隊版トレンディドラマ」とも称された本作には、常識をくつがえすショッキングな結末が用意されていた。

 最終回「はばたけ! 鳥人よ」。次元戦団バイラムとの死闘を制したジェットマン。それから3年後、天堂竜(レッドホーク)と鹿鳴館香(ホワイトスワン)は、ついに結婚式の日を迎えていた。かつての恋敵であり、やがて無二の親友となった結城凱(ブラックコンドル)も、2人の門出を祝うべく式場へ急いでいた。

 しかし、運命は非情だった。その道中でひったくり犯に遭遇した凱は、犯人を取り押さえた際、逆ギレした男に腹部をナイフで深く刺されてしまう。宇宙からの侵略者といった強大な敵を幾度も退けてきた戦士の命を奪おうとしていたのは、平和を取り戻したはずの日常に潜む、あまりにも「小さな悪意」だったのである。

 致命傷を負いながらも、凱は平然を装って式場のベンチにたどり着く。「空が目に染みやがる……きれいな空だ……」という凱らしいキザな言葉に、「ああ…俺たちが守ってきた青空だ」と駆け寄った竜は笑顔で応えるが、友の異変には気づかない。そして幸せな新郎新婦の姿を見つめながら、凱は静かに目を閉じるのだった。

 巨悪を倒しても、英雄が必ずしも報われるとは限らない。仲間の幸せを見届け、静かに生涯を終えた凱の最期は、当時のトレンディドラマの雰囲気をまとった、あまりにも切なくビターな最終回として語り継がれている。

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