■末っ子の成長が早すぎる! ケンシロウの急成長に揺れるラオウの胸中
最後に、末弟・ケンシロウとラオウの関係について見ていきたい。
かつてのラオウにとって、ケンシロウは「愛に溺れる甘い男」に見えていただろう。実際、序盤でケンシロウと対峙した際、ラオウは「その甘い性格でよくぞ今日まで生き延びてきた!!」と、完全に見下している。
しかし、ケンシロウはその後強敵(とも)との戦いを通じて哀しみを背負い、北斗神拳の究極奥義「無想転生」を体得するまでに急成長を遂げた。その変貌は、ラオウの想定を大きく超えていたはずだ。
事実、ラオウはケンシロウとの最終決戦を前に、自らの恐怖を克服するため、愛するユリアの命を奪う(実際には仮死状態にする)ほどの非情な決断を下している。
かつては弱かった末弟が、今や自分の命を脅かす唯一のライバルとして成長し、さらには自分が手に入れられなかったユリアの愛まで手にしているのだ。そう考えると、ラオウの長兄としてのプライドはズタズタであり、弟に激しい怒りを燃やすのも当然だろう。自分の勝利のためには手段を選ばない、という彼の行動原理がここに表れている。
しかし、ラオウはケンシロウとの死闘の末、敗北を喫する。最期は天に拳を突き上げ、「わが生涯に一片の悔いなし!!」と叫び、壮絶な最期を遂げた。
末弟・ケンシロウの成長を誰よりも肌で感じ、自らの恐怖すらも受け入れたラオウは、まさに北斗の長兄と呼ぶにふさわしい男だったのだ。
北斗四兄弟は伝承者の座を巡って争っていたこともあり、ケンシロウとトキ以外は仲が悪かった。だが、かつてケンシロウがジャギにとどめを刺さなかったり、ラオウがトキの命を奪えなかったように、憎しみの奥底には、断ち切れない兄弟としての絆があったことがうかがえる。
今年新しく放送されるアニメにおいて、この複雑な兄弟たちの関係性はどのように描かれるのだろうか。多くのファンの注目が集まっている。


