テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の放送から46年が経過したが、今もなおテレビアニメや劇場版が製作され続けている『ガンダム』シリーズ。それは映像作品だけにとどまらず、ゲームや外伝コミックなど、さまざまなメディアにまで及んでいる。
その中でも根強い人気を誇っているのが、長谷川裕一氏が描く人気コミック『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズだ。2024年で30周年を迎えた同シリーズは、断続的とはいえ連載が継続しており、現在は雑誌『ガンダムエース』(KADOKAWA)にて『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゼーロイバー』が連載中だ。
『クロスボーン・ガンダム』は、劇場アニメ『機動戦士ガンダムF91』の10年後となる宇宙世紀0133年から始まり、『F91』の“その後”だけでなく、『機動戦士Vガンダム』と同時代の裏側のストーリーなども描かれている。
そんな『クロスボーン・ガンダム』シリーズには、宇宙世紀のガンダムファンが驚くような展開や描写がいくつもあり、大きな魅力の1つとなっている。そこで今回は、『クロスボーン・ガンダム』シリーズにあった、読者も驚いた衝撃シーンの数々をあらためて振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■あまりに奇怪なビジュアルをした可変モビルスーツ「ディキトゥス」
『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』では、木星圏から地球をコロニーレーザーで攻撃するという木星帝国による計画「神の雷計画」を阻止すべく、主人公「トビア・アロナクス」を含めた7人のパイロットと7機のモビルスーツ(MS)が木星帝国に殴り込みをかけるストーリーが描かれる。
待ち受けるのは、木星帝国の新総統となった「光のカリスト」が乗るMS「ディキトゥス」で、『鋼鉄の7人』のラスボス機といえる。さらに双子の弟「影のカリスト」のバイオ脳を乗せた、もう1体のディキトゥスもトビアたちの前に立ちはだかった。
2機のディキトゥスは変形機構を備え、MS形態時は顔が2つあるような異様なデザイン。さらにモビルアーマー形態になると、巨大な「手のひら」のような独特のビジュアルに変貌を遂げる。
書籍『機動戦士クロスボーン・ガンダム メカニック設定集』(角川コミックス・エース)によれば、「機体をこれほど手に模す必然性はなく、カリスト兄弟の歪んだ精神性が見てとれる」と、その異様さが記されている。
MS形態時は高機動戦闘を得意とし、MA形態になると強力なIフィールドを展開し、敵の攻撃をまったく受けつけない状態となる。唯一の弱点は機体背面にまでIフィールドを展開できないことだが、ディキトゥスの圧倒的な性能は、トビアたちが乗る地球圏のMSの性能を凌駕していた。
実際トビアたちは、総力戦の末になんとかディキトゥス2機を撃破したが、それによって多大な犠牲を出している。「巨大な手」にしか見えない不気味なMAが、仲間を握りつぶしていく様は、まさに“神の怒り”を示しているようであり、これまでの『ガンダム』シリーズにない絶望的な恐ろしさと威圧感があった。
■アムロ・レイの再来!? 驚異の「ミサイル弾頭斬り」
『鋼鉄の7人』の続編にあたる『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』は、宇宙世紀0153年が舞台。テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』と同じ時代であり、「ザンスカール戦争」と同時期に起こっていたクロスボーン・ガンダムの戦いが描かれている。
新たな主人公「フォント・ボー」は、サイド3のズム・シティに暮らすメカオタクの普通の青年。彼はエンジェル・ハイロゥに関する情報をネット上に公開したことで、ザンスカール帝国から命を狙われ、やがて「エンジェル・コール」と呼ばれる細菌兵器を巡る戦いに巻き込まれることになる。
その流れで「ファントム」という機体を奪取したフォントは、それを「ファントムガンダム」と呼び、のちに「ゴーストガンダム」に改修されることとなる。
そこに至る戦いの中で、ファントムに搭乗するフォントは、かつての一年戦争の英雄と同様の神業を披露する。それは細菌兵器を街ごと焼却処分するため、核ミサイルが発射された絶望的な場面でのこと。
マッハ23で飛行するミサイルを、未完成の「ミノフスキー・ドライブ」を搭載したファントムで追跡するフォント。後ろから追いつくと、飛行するミサイルと相対速度を合わせたうえ、ミサイルの弾頭部分だけを切断するという神業を披露した。
これは言うまでもなく、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』に描かれたオデッサ作戦にて、アムロ・レイが飛来する水爆ミサイルをガンダムの攻撃で無力化したシーンのオマージュだろう。


