森川ジョージ氏の人気ボクシング漫画『はじめの一歩』には、個性的なフェザー級のボクサーが数多く登場する。主人公・幕之内一歩の階級なのも相まって、それぞれが強力な武器を持つ強者がそろう激戦区といえるだろう。
では、フェザー級で最強のボクサーは誰だろうか? おそらく、ほぼすべての読者が「リカルド・マルチネス」の名を挙げるはずだ。WBA世界フェザー級チャンピオンとして68戦無敗を誇り、あらゆる面において隙がない「生ける伝説」である。
しかし、近年の『はじめの一歩』では、その絶対王者に牙を剥く挑戦者も現れている。今回は、リカルドの次に最強の座に君臨するかもしれないフェザー級ボクサーを考えてみたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■その拳骨は天下無双! 世界2位を粉砕した千堂武士
まずは、本作屈指の人気キャラ「浪速のロッキー」こと千堂武士からだ。
千堂の強みといえば、おそらく世界最強とも称される拳骨から放たれる圧倒的な破壊力のパンチだろう。まともにヒットすれば一撃KOは必至であり、拳を相手の脇腹に密着させて握るだけの技「握り拳」ですら、相手に“脇腹が引きちぎられた”と錯覚させるほどなのだから凄まじい。一歩が現役を退いた今、フェザー級最強のハードパンチャーは千堂をおいて他にいないだろう。
さらに千堂は、天性の野生の勘でパンチを強引に当てることにも長けており、次の瞬間に何をしてくるかわからない怖さもある。どんな格上が相手でも、どんなに不利な状況でも、彼なら拳骨の一撃でなんとかしてしまうかもしれない。そうした規格外の「期待感」を抱かせてくれるのが、千堂というボクサーの魅力だ。
その実力は、WBAフェザー級2位、アルフレド・ゴンザレス戦で証明されている。リカルドに最も近い男と評されたゴンザレスと真っ向勝負で殴り合い、右拳を骨折しながらも「スマッシュ」でねじ伏せてみせた。
現在、『週刊少年マガジン』(講談社)では、千堂とリカルドによる世界戦が連載されている。もしこの戦いで虎の牙が絶対王者に届けば、フェザー級最強の座は文句なしで千堂のものだ。
■リカルドと同じ場所に到達した天才野生児・ウォーリー
弱冠17歳でインドネシア国内チャンピオンに登り詰めた天才ボクサー、ウォーリーもまた、フェザー級最強の座にふさわしい力の持ち主だろう。
ウォーリーの武器は、ジャングルで育ったことで培われた驚異の身体能力だ。ロープの反動を駆使してリング上を自在に跳び回り、型にハマらないパンチで相手を翻弄する戦いぶりは人間というより野生動物のようである。何者にも捉われない自由奔放なウォーリーのボクシングは、プロわずか3戦のキャリアで一歩を敗北寸前まで追い詰めたほどだ。
一歩との試合後、経験を積み重ねてさらに成長したウォーリーは、コミックス第137巻でリカルドとの世界戦に挑んだ。
ボクシングの基本を極めたリカルドに対して、常識を超えた野生の動きで対抗するウォーリー。自分にボクシングを教えてくれたミゲル・ゼールの「自由に楽しんできなさい」という言葉通り、自由奔放な戦いでリカルドを最後まで脅かした。結果はKO負けではあったが、勝ったリカルドに「同じ場所に立っていた」と言わしめている。
世界戦後、ウォーリーは右目のけがを理由にボクサーを引退した。伝説のチャンピオンに「自分と同じ場所に到達している」と認めさせてリングを去ったウォーリーは、間違いなくフェザー級最強格といって差し支えないだろう。


