人気漫画に登場する女性キャラクターは、時に現実では考えられないような奇抜なビジュアルや、エキセントリックな性格であることも少なくない。このようなキャラクターを実写化するのは極めて難しいが、近年ではキャラクターになりきり、違和感なく演じる女優が増えている。
実写化のハードルが下がった背景には、CG技術などで世界観や表情の再現が可能になったこともあるが、何よりそのキャラクターになりきるために緻密な役作りをおこなった女優たちの努力があるからに他ならない。
中には「漫画のキャラに近づくために、そこまでする!?」と驚かされるほどの役作りで、見事な演技やビジュアルを披露した女優も存在する。
そこで今回は、原作漫画から抜け出てきたかのような再限度の高いビジュアル・演技を見せた実力派女優たちを5回にわたってピックアップし、振り返っていきたい。
(第2回/全5回)
※本記事には作品の内容を含みます
■「浜辺美波」奇跡の透明感で「幽霊」を演じきった…『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』めんま
2015年にフジテレビ系で放送されたスペシャルドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(通称:『あの花』)は、大人気アニメを実写化した作品である。
実写化が難しいとされる繊細な青春群像劇アニメにおいて、物語の核となるヒロイン・本間芽衣子(通称:めんま)役に抜擢されたのが、当時15歳の浜辺美波さんだ。
めんまは、小学校時代に仲良し6人グループ「超平和バスターズ」のメンバーだったが、不慮の事故で亡くなってしまう。しかしその7年後、村上虹郎さん演じる主人公“じんたん”こと宿海仁太の前に、成長した姿の幽霊となって突如現れるのだ。
アニメ版めんまは、真っ白なワンピースに裸足、長く透き通るような銀髪と青い瞳が特徴で、実写化するには難しいビジュアルであった。しかし浜辺さんは、地毛を活かした長い黒髪と凛とした佇まいで、実写版ならではのめんま像を創り上げた。浜辺さんが放つ圧倒的な清潔感と透明感は、幽霊という存在の儚さを表現し、美しくも切ないめんまを誕生させたのである。
浜辺さん自身、この役を演じる上で大変な苦労があったと語っている。幽霊なのにテンションが高く、天真爛漫なめんまを演じるにあたって、原作アニメを何度も見返して独特の幼い口調や仕草を真似、動きにメリハリをつけた。両手を広げてくるくる回ったり、無口なじんたんに一方的に話しかけたりと、実写でやると不自然になりそうな“アニメ的な動き”を見事に成立させたのである。
伝説のクライマックスである「かくれんぼ」のシーンで見せた浜辺さんの涙と笑顔は、原作アニメを愛するファンにもすんなりと受け入れられただろう。「見つかっちゃった」という一言に込められた、悲しみと喜びが混ざり合った複雑な感情は、「超平和バスターズ」のメンバーだけでなく、多くの視聴者の涙腺を崩壊させた。
めんまは、派手なアクションや奇抜な衣装が特徴のキャラクターではない。しかし、ただそこにいるだけで物語の切なさを表現しなければならない難しい役柄であり、そんなめんまを演じきったことで浜辺さんは女優としての実力を見せつけた。
浜辺さんは、本作の後も多くの実写化作品でその才能を発揮しており、『約束のネバーランド』の主人公・エマや、ギャンブラーの顔を見せた『賭ケグルイ』の蛇喰夢子といった多様な役柄を見事に演じ分け、マルチな活躍を見せている。


