■キーワードは「前より強い!」 なぜ一歩復帰説が根強くささやかれるのか
パンチドランカーを理由に引退した以上、一歩の現役復帰は本来ならありえない選択だろう。それでもなおファンの間で「一歩復帰説」が根強くささやかれるのには理由がある。それは、引退してからボクサーとして急成長しており、現役時代よりも強くなっているからだ。
現役時代の一歩は激戦を繰り返す中でダメージが蓄積していた。しかし、引退して体を休めたことで溜まっていたダメージが抜け、現在の彼は動きのキレも破壊力も現役時よりパワーアップしているようだ。実際、鴨川会長や千堂といった一歩の力をよく知るキャラクターたちは、一様にして“前より強くなっている”と確信しているのである。
肉体的な回復だけではない。トレーナーとしてボクシングをリングの外から見るようになった結果、現役時代にはなかった技術も習得している。苦手としていたカウンターや左ジャブの使い方、さらにはサウスポースタイルへのスイッチなど、ボクシングの幅が以前とは比べ物にならないほど広がっているのだ。
「今の一歩がリングに上がれば、いったいどうなるのか?」ファンはおろか、一歩の事情を知る作中の登場人物たちですらそんな期待を抱いてしまうほど、今の一歩は強い。それこそ、かつて超えられなかった世界の壁も超えられそうなほどに。
もし一歩を引退に追い込んだパンチドランカーの症状が何かの間違いであれば、彼の現役復帰は決して夢物語ではないだろう。だが、一歩自身は「精一杯やった」と納得して引退を決断しているし、何より釣り船屋を継いで母親を支えるという目標もある。彼の気持ちを考えれば、現時点でのカムバックは不透明と言わざるを得ない。
はたして、一歩が再びリングに上がる日は来るのだろうか。その答えが示されるその日まで、まだまだ『はじめの一歩』から目が離せない。


