『はじめの一歩』一歩が引退したのはなぜ? その後の活動&復帰説が囁かれる理由を考察してみたの画像
少年マガジンKC『はじめの一歩』第138巻(講談社)

 森川ジョージ氏による大長編ボクシング漫画『はじめの一歩』の主人公・幕之内一歩が、作中でボクサーを引退してから久しい。文字通り“一歩”ずつ世界の頂点を目指していた彼が引退を宣言した1208話「木の葉」は多くの読者に衝撃を与え、その後の展開はまるで予想がつかないものとなった。

 「一歩の引退」という大事件からもうすぐ8年が経つが、彼がなぜ引退したのかをはっきりと覚えていない読者もいるのではないだろうか。世界にも通じる拳の破壊力を誇った一歩が、なぜ引退という重い決断を下すに至ったのか。そして、昨今ファンの間でささやかれている「一歩復帰説」の根拠とは、いったい何だろうか。

 今回は、幕之内一歩が引退に至った経緯と、今後の復帰の可能性について迫ってみよう。

 

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます

 

■世界王座まであと少しだったが…パンチドランカー症状で引退

 日本フェザー級で連勝を積み重ね、世界への道筋も見えていた一歩。彼が引退を決意した理由は、パンチドランカーの兆候が現れたことであった。

 その兆候は、世界フェザー級2位アルフレド・ゴンザレス戦に敗れた頃から見られた。極端に打たれ弱くなったり、紙に線をまっすぐ引けなかったりと、一歩は自身の異変を自覚するようになる。

 これらは、頭部に繰り返しダメージを受けるボクサー特有の、典型的なパンチドランカーの症状だった。破天荒な先輩ボクサー・鷹村守をして「壊れているぜ」と断言されるほど、一歩の体はボロボロだった。

 パンチドランカーの症状を自覚し始めた一歩は、“次負けたら引退する”と背水の陣で復帰戦となるアントニオ・ゲバラ戦に臨む。師匠の鴨川源二会長に成長した姿を見せようと「新型デンプシー・ロール」にも果敢に挑戦するが、結果は第4R(ラウンド)でTKO負け。打たれ強さが代名詞だった一歩が、1Rで3度もダウンを喫するという決定的な敗戦だった。

 接近戦で相手ボクサーとの激しい打ち合いを制してきた一歩にとって、パンチドランカーは避けられない壁だったのかもしれない。それでも、鴨川会長に引退を伝えた時の一歩の表情は、とても清々しいものだった。すべてやりきったという想いで、彼はボクサーを引退したのである。

■引退後の現在…釣り船屋とトレーナーの二足のわらじ! 世界挑戦組のサポートも

 引退後の一歩は、実家の釣り船屋を継ぐために働きながら、鴨川ジムのトレーナーとして、プロボクシングの世界に身を置いている。

 最初はボクサーが休むための椅子をぶん投げるなどひどいおこないも見られたが、担当の練習生の指導を通して成長し、今も裏方としてボクシングを学び続けている。

 どんな形であれ、大好きなボクシングに携われる状況を喜ぶ一方、時折リングへの未練を覗かせることも少なくない。

 釣り船屋とトレーナー、二足のわらじを履く生活を送る一歩だが、時には海外へ出向いたりもしている。かつてのライバルである千堂武士やアレクサンドル・ヴォルグ・ザンギエフ、ウォーリーといった、仲間たちの世界挑戦を手伝うためだ。

 世界挑戦を控える有力ボクサーのスパーリングパートナーを務める場面もあり、かつて拳をかわした戦友たちを献身的にサポートする姿勢はなんとも一歩らしい。もっとも、ヴォルグとスパーリングをした際は、現役さながらの動きで勢いあまって彼の肋骨を折ってしまったが……。

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