■生身の一般人にまさかのダメージを負わされた「改造ベムスター」

 『ウルトラマンタロウ』には、他にも民間人に翻弄された怪獣がいる。1973年放送の第29話 「ベムスター復活! タロウ絶体絶命!」、第30話「逆襲!怪獣軍団」に登場した宇宙大怪獣「改造ベムスター」だ。

 地球侵略を目論む異次元超人「改造巨大ヤプール」とともに地球の周辺に現れた改造ベムスターは、手始めにZATの宇宙ステーションを腹部から飲み込んで全滅させる。

 さらに、改造ベムスターは東京のガスターミナルに降り立って大暴れ。すぐに姿を消したが、これに対しZATは何もできなかった。

 その様子を目の当たりにした塾の子どもたちの間で、「敵はウルトラマンタロウが倒してくれる」「ZATは不要」という考えがまん延。いざというときは誰かに頼ればいいという子どもたちの姿勢を、塾講師の青年・海野は危惧していた。

 そんな状況で改造ベムスターが工業地帯に再出現。子どもたちに「人間でも怪獣を倒せる」と宣言した海野青年は、ダイナマイトを手にして怪獣ベムスターに挑む。

 海野青年は怪獣の口内に飛び込んで腹の中にダイナマイトを放り込むが、改造ベムスター(改造)はダイナマイトを吐き出し、現れたウルトラマンタロウを倒して一時撤退する。

 その後、三度工業地帯に改造ベムスターが姿を現すと、海野青年は再度単独で戦いに臨む。今度はロープを使って頭部に飛び乗ると、手にしたナイフでベムスターの目をめった刺しにする。

 それで生じた隙に、ZATが「濃縮エネルギー爆弾」を腹部に撃ち込んで改造ベムスターは爆散した。

 かつてウルトラマンジャックを破り、一度はタロウすら倒したベムスターを相手に生身で大健闘した海野青年。彼こそ、まさに最強の民間人といえるかもしれない。

■少年少女にボコられた大悪党「ブラック指令」の哀れすぎる最期

 最後に紹介するのは『ウルトラマンレオ』の第40話から51話(1975年放送)にかけて放送された「恐怖の円盤生物シリーズ!」に登場した「ブラック指令」だ。

 ブラック指令の初登場は第40話「恐怖の円盤生物シリーズ! MAC全滅! 円盤は生物だった!」。このエピソードでは、地球から遠く離れた悪魔の星ブラックスターから円盤生物「シルバーブルーメ」が飛来。怪獣攻撃隊MACの基地がシルバーブルーメの襲撃によって壊滅するというショッキングなシーンから始まる。

 惨劇の直後、ステッキを手にし、帽子やスーツ、マントまで黒ずくめの男が登場。地球に降り立って暴れるシルバーブルーメに攻撃をやめるよう命令した男こそ、ブラック指令だ。

 ブラック指令はひげ面で顔が妙に青白いうえに、目に当てた水晶には逆さになった顔が映ってなんとも不気味。小さな子どもであればトラウマレベルの恐ろしい宇宙人だ。

 以後、ブラック指令は次々と円盤生物を呼び出して地球侵略とウルトラマンレオの抹殺を目論むが、そのたびにウルトラマンレオに阻まれ続ける。

 そして第51話「恐怖の円盤生物シリーズ! さようならレオ! 太陽への出発」では、ブラック指令は円盤生物「ブラックエンド」を呼び、ウルトラマンレオに挑ませた。

 その戦いでブラックエンドがピンチに陥ると、おおとりゲン(ウルトラマンレオ)を兄のように慕う少年・梅田トオルを人質に取ってウルトラマンレオを脅迫する。

 しかし、このときトオルの友人である少年少女たちがブラック指令に接近し、トオルに腕を噛まれて逃げられるという大失態を犯す。そのまま子どもたちに袋叩きにされたブラック指令は、円盤生物に指令を出す水晶玉まで奪われてしまう。

 結局、ブラックエンドはこの水晶玉をウルトラマンレオにぶつけられて敗北。ブラック指令も肉体が崩壊し、泡と化した。ブラック指令は存在感抜群の悪役だったが、その最期は地球の少年少女たちにもみくちゃにされて敗れるという衝撃的な末路だった。


 本来、圧倒的な強さを誇るはずの怪獣や宇宙人たちが、地球の単なる一般人に翻弄される展開は珍しい。ふだんは逃げまどうだけの存在に見えるかもしれないが、油断した隙を突けば、非力な地球人でも一矢報いることができるという貴重なエピソードである。

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