漫画やアニメが実写化される際にファンが特に注目するのは、キャラクターの再現度だろう。なかでも物語に大きな影響を与える悪役は、作品の印象を左右する重要な存在だ。
実写化作品においても、多くの実力派女優たちが魅力的な悪役キャラを演じ、その妖艶な微笑みで観客を恐怖と感動の渦に巻き込んできた。
今回は、原作ファンをも唸らせるほどの存在感と妖艶さで作品を彩った、名女優たちの怪演を見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■自由奔放にすべてを喰らいつくす存在…『東京喰種 トーキョーグール』蒼井優
2011年から『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載された石田スイさんの『東京喰種 トーキョーグール』は、人を喰らう怪人「喰種(グール)」の力に目覚めてしまった少年が、自身の運命に苦悩しながらも戦いを繰り広げていくダークファンタジー作品である。
その高い人気からさまざまなメディア展開をなされている本作だが、2017年に公開された実写映画版で衝撃の演技を披露したのが、神代莉世(リゼ)を演じた蒼井優さんだ。
リゼは主人公・金木研(窪田正孝さん)が行きつけの喫茶店で出会った女性で、同じ作家の本を読んでいたことをきっかけに親密な関係になっていく。
理知的で、金木にも爽やかな笑顔を向けていたリゼだが、彼女の本性は奔放かつ貪欲で、自身の食欲に忠実に人を喰らう危険な喰種「大喰い」だった。
当初は自身も金木に好意があるかのように振舞っていたリゼだが、夜道で突如、彼に喰らいつき、本性を現す。喰種の特徴である赤い目「赫眼(カクガン)」を輝かせ、恍惚の表情で人間の肉を咀嚼する姿は、それまでの可憐な様子からは想像も付かないほど異様だった。
目を赤く染め、口から血を垂らしながら無邪気に笑う蒼井さんの演技は、本作屈指の名場面であるとともに、多くの視聴者に強烈なトラウマを植え付けた。楽しそうに金木を追い詰め、痛めつける姿は、まさに美しくも恐ろしい怪物のそれであった。
■美しくもしたたかな漆黒のヒットガール…『土竜の唄』菜々緒
2005年より『週刊ヤングサンデー』(小学館)にて連載された高橋のぼるさんの『土竜の唄』は、広域暴力団の会長を逮捕するため、若き巡査が潜入捜査官として奮闘していくサスペンスアクション作品である。バトルあり笑いありの破天荒な作品で、その人気から2014年から実写映画が公開された。
本作において、恐ろしく妖艶な悪女を演じたのが、映画版第2作『土竜の唄 香港狂騒曲』に出演した菜々緒さんだ。これまでも数々の映画作品で悪女を演じてきた菜々緒さんだが、本作ではチャイニーズマフィアのヒットガール・胡蜂(フーフォン)を演じている。
胡蜂はシースルーの黒いチャイナドレスを身にまとったキャラクターで、主人公・菊川玲二(生田斗真さん)の敵として物語をかき回す存在である。
持ち前のスタイルの良さを存分に活かしたビジュアルはもちろん、作中では流暢な中国語での演技や、鞭や格闘を活かした激しいアクションにも挑戦。ときにはその美貌を武器に罠を仕掛け、菊川に自身のランジェリー姿を見せて誘惑するという過激なシーンも、体当たりで演じていた。
菜々緒さんは、胡蜂という役の雰囲気を作るために自らも演技プランやメイクを提案し、「こうした方が怖く見える」などと、ビジュアルを作って臨んだことを明かしている。
大人の色気を振りまきながら、戦いのなかでも妖しい笑みを絶やさない余裕は、まさに熟練の殺し屋ならではのものだった。


