■ぶっつけ本番の勝負強さを見せた「ハヤト・コバヤシ」の成長
アムロと同世代の小柄な少年ハヤト・コバヤシ。彼もまた民間人ながら、なし崩し的にガンタンクのパイロットを務めることになる。しかし、そんな彼が非凡さを証明したのは、第23話「マチルダ救出作戦」で急遽Gファイターに搭乗したシーンだった。
ハヤトは初めて乗る機体にもかかわらず、Gファイターの機動力をいかんなく発揮。窮地に立たされたガンダムを見事救出すると、Gファイターの上に乗せて空中戦を繰り広げ、アムロがグフを撃破するサポートをした。
この働きぶりに、正規軍人のマチルダも「さすがねアムロ君、ハヤト君も」と称賛の声を送ったほどである。その後の第25話「オデッサの激戦」でもハヤトは、コア・ファイターにGパーツの後部をドッキングさせた「Gスカイ・イージー」タイプで出撃し、アムロとの名コンビネーションを見せている。
資源採掘地帯オデッサの基地司令を務めるマ・クベは、水爆ミサイルを発射。これを無力化するという難題にアムロとハヤトが挑むことに。
Gスカイ・イージーで高速飛行するミサイルを追跡するハヤトは、ぶっつけ本番にもかかわらず巧みな操縦技術で追いつき、アムロのガンダムとの見事な連携で水爆を無力化することに成功する。
そのほかにもハヤトは、ガンタンクでの精密な射撃に定評があり、多くの敵機を撃墜。ソロモン攻略戦で被弾し、ケガを負ったときはニュータイプとして覚醒したアムロに対するコンプレックスに涙を流す場面もあったが、しっかり一年戦争を最後まで生き残った。
映画版ではガンキャノンにも乗っていたハヤトだが、基本的にはガンタンクで戦い抜いた。しかしGファイターに乗ったときの活躍ぶりは目覚ましく、彼の持ち前の射撃精度を考えると、恒常的に機動力の高い機体を与えられていたら、もっと活躍できていたかもしれない。
『機動戦士ガンダム』ではアムロの能力が突出していたとはいえ、彼を近くで支えたカイやセイラ、ハヤトといったホワイトベース隊の才能は計り知れない。そして全員があの過酷な一年戦争を生き残ったことを考えると、まさに奇跡的な巡り合わせで集まったメンバーといえるだろう。


