■1話で話題をさらったインパクト大な作画
ビジュアル的な要素で1話から視聴者の話題をさらったのは、『BEASTARS』で知られる板垣巴留氏の同名漫画を原作にした2025年10月期アニメ『SANDA』だろう。
超少子化が進み、子どもは手厚く保護すべき対象として扱われる近未来の日本を舞台に、主人公の三田一重がいきなりクラスメイトの冬村四織に命を狙われることから物語がスタートする。
鬼気迫る表情で包丁を突きつけられる絵面はアニメの1話としてはかなりのインパクトだ。そしてついに包丁で刺されてしまった主人公。「本当に刺されるの?」という驚きとともに、三田の予想もできなかった意外な変貌にびっくりした人は多いだろう。
工夫という意味では、2025年1月期に放送された『もめんたりーリリィ』もすごかった。
5人の少女が突如出現した謎の機械・ワイルドハントと戦うというのが序盤のあらすじなのだが、とにかく訳がわからないくらいキャラクターの髪の毛が細かく描かれており、一つ一つが生きているかのようによく動く作画なのだ。
これについてメインアニメーターの内田孝行さんは公式サイトで「今回は特に髪の毛の描写に力を入れて細かさでなびきや揺れを表現しており、派手なアクションをしている最中でも、その細かさは変わらない」と語っている。
つい目がいってしまう髪の作画に加え、会話の独特なテンポ感や世界観の理解の難しさなど、いろいろな意味で1話切りできない、続きの気になる作品となった。
少し前までは「3話ショック」という言葉が流行るなど、急展開は3話で起こることが多かったが、毎クールごとに膨大な作品が放送される昨今は、1話からインパクトのある演出を用いるアニメが増えてきている。視聴者が「3話切り」ならぬ「1話切り」することも多い中、これらの作品はとても1話では切れない、続きが気になって仕方がない作品となったことだろう。


