■劇場作品を盛り上げたアニソン

 映画では、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』を彩ったLiSAの『残酷な夜に輝け』とAimerの『太陽が昇らない世界』も作品の世界観の底上げに貢献している。両者ともアニメシリーズの主題歌を手がけていることもあって、ファンにとってLiSAやAimerは『鬼滅』とは切っても切れない関係だろう。

 今回の両楽曲は曲調こそ違うものの、どちらも力強い作品。特に『残酷な夜に輝け』は、「不利な状況でも信じることをやめずに突き進む」といったメッセージを感じる、闇の中から一筋の希望を感じるような楽曲だ。

 そして、毎年大人気の劇場版『名探偵コナン』。28作目となる「隻眼の残像(フラッシュバック)」の主題歌となったのはKing Gnuの『TWILIGHT!!』だ。

 長野県警の活躍にスポットを当てた本作のラストを締めたのは、疾走感がありながらどこか大人の雰囲気を感じるこの楽曲。曲中には、『コナン』のアニメではお馴染みの、CMのアイキャッチの扉が閉まる音がSEとして使用されている。

 気になる人はぜひ1分46秒ごろを再生して確認してみてほしい。

 さて、テレビアニメでもさまざまな楽曲が話題となった。サカナクションが初めてアニメ主題歌を担当した『チ。-地球の運動について-』の『怪獣』はその最たる例だ。

 2021年「マンガ大賞」第14回にて第2位を獲得した『チ。』は、地動説を証明することに命を懸けた人間の生き様を描いた作品。アニメも、まさに大人にこそ真剣に見てほしい骨太な作品となり、『怪獣』の歌詞の持つ深さと相乗効果を生み出した。

 このほか、引き続きアニソン界を牽引するYOASOBIの『ウィッチウォッチ』オープニングテーマ『Watch me!』や、『薬屋のひとりごと』第2期のオープニング曲である幾田りらの『百花繚乱』、Mrs.GREEN APPLEの『クスシキ』など、人気アーティストによる主題歌が目立った2025年。いずれも曲のワンフレーズを聴くだけでアニメの鮮やかな世界観を思い出すほど印象的な曲ばかりだ。

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