劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にて、主人公のアムロ・レイが乗るモビルスーツ「νガンダム」。その象徴的な武装のひとつが「フィン・ファンネル」である。
フィン・ファンネルは、アムロのアイデアをもとに設計されたオールレンジ攻撃用兵装。ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズでは、使用時に「行けっ! フィン・ファンネル!!」とアムロが叫びながら攻撃を行うイメージがついている。しかし、アニメ劇中でアムロはそんなセリフを言っていないのは有名な話だろう。
このように長く続く『ガンダム』シリーズでは、ゲームなどをきっかけにアニメにはなかった設定や描写が生まれるケースも少なくない。そんなゲーム発祥のネタがいつの間にかファンのあいだで広がり、アニメにあるシーンだと誤解する人もいるようだ。
そこで今回は「フィン・ファンネル」使用時のアムロのセリフのように、ゲームをきっかけに、まるでアニメ公式の設定のように広まったものを振り返っていきたい。
■一挙に敵を殲滅するウイングガンダムゼロの象徴的な攻撃が実は…
テレビアニメ『新機動戦記ガンダムW』に登場する「ウイングガンダムゼロ」の主武装である「ツインバスターライフル」。これは2丁のバスターライフルが連結した巨大なビームライフルであり、スペースコロニーや衛星を破壊するほどの威力を誇る。
その構造上、ライフルを分割して左右の手に1丁ずつ持って発射することも可能。実際アニメでも機体を回転させながら撃つことで、全方位に射撃を行う場面があった。
ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズなどでは、この撃ち方は「ローリングバスターライフル」と呼ばれ、一度に大量の敵を葬る強力な「MAP兵器」として採用されることが多い。
ゲーム内では、ウイングガンダムゼロのメインパイロットであるヒイロ・ユイの代名詞のような攻撃として扱われているが、実はアニメ劇中で、ヒイロがローリングバスターライフルのような攻撃を行ったことはないのだ。
実際アニメでローリングバスターライフルを使用したのは、カトル・ラバーバ・ウィナーとゼクス・マーキスだった。ローリングバスターライフルがヒイロの必殺技のように思われがちなのはゲームの影響が大きいことは明白で、アニメファンからすると違和感を覚える点かもしれない。


