■どんな強敵も完封する反則級の大技『ドラゴンボール』魔封波
『週刊少年ジャンプ』には数々のバトル漫画が連載されているが、1984年から連載された鳥山明さんの代表作『ドラゴンボール』を忘れるわけにはいかない。
本作は世界的な人気を博し、令和の時代においても新たなアニメシリーズが展開されるなど、その人気は衰えることがない伝説的なバトル漫画だ。
「かめはめ波」をはじめ数々の必殺技が登場する本作だが、なかでも効果と引き換えに凄まじいリスクを伴うのが「魔封波」である。
これは、かつて世界を恐怖に陥れたピッコロ大魔王を倒すため、武術の達人・武泰斗によって編み出された秘術である。その効果は、使った相手を特定の容器の中に封じ込め、無力化するというものだ。
この技の使用に必要なのは、密閉できる容器とそれを封じるためのお札のみ。道具の材質などは何でもいいようで、作中では電子ジャーや梅干しの壺などが使われていた。
一見コミカルな技にも思えるが、その威力は強力無比。ひとたび決まれば、対象を容器に完全封印することができるため、どんな能力を持つ相手であろうと強制的に捕縛することが可能なのだ。
相手を倒すのではなく、封印するという本作では珍しい捕獲系の効果を持つこの技。だが、その強力な効果ゆえ、使い手はかなり大きな負担を強いられる。事実、この技を開発した武泰斗、それを受け継いだ亀仙人は「魔封波」を発動した際、どちらも命を落としている。
当初は「発動=死」というハイリスクな技のように思われていたが、後の展開で術者の体力や、対象となる存在との力量差によって生死が左右されることが判明している。
とはいえ、成功しても命を落とす危険性が高いことに変わりはない。相当リスキーな封印術であることは間違いないだろう。
絶望的な状況から戦況をひっくり返す必殺技は、バトル漫画において大きな魅力のひとつである。
今回紹介した技は、いずれもたった一度の使用で戦況を決定づける可能性を秘めた強力なものばかりだ。しかし、発動者自身の命が代償となる、あまりにも大きなリスクを伴う。
生涯一度きり、己のすべてを賭して放つ必殺技——その壮絶さと引き換えに、物語を大きく動かすこれらの技には、読者の心を惹きつけるロマンのようなものを感じざるをえない。


