『聖闘士星矢』廬山亢龍覇に『セーラームーン』時間よ止まれ、『ドラゴンボール』魔封波も…バトル漫画に登場する「生涯で一度しか使えない必殺技」の画像
『DRAGON BALL』#19 [DVD] (C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 バトル漫画やアニメにおいて、キャラクターの個性が存分に活かされた必殺技は欠かせない存在である。一撃で勝負を決するような高威力の技から、超常現象で戦いを有利に運ぶ特殊能力など、その効果は実にさまざまだ。

 しかし、なかにはあまりに強力すぎるゆえ、「生涯で一度しか使えない」という厳しい制約を持つ究極の大技も描かれている。

 まさに命を賭した一手と呼ぶにふさわしい、渾身の必殺技について見ていこう。

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■その姿はまさしく天高く飛翔する龍…『聖闘士星矢』廬山亢龍覇

 1985年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が開始された車田正美さんの『聖闘士星矢』は、ギリシャ神話をモチーフにした壮大な世界観のなか、星座を守護とする聖闘士(セイント)たちが激闘を繰り広げていくバトル漫画だ。

 アニメ化やゲーム化はもちろん、2023年には実写映画『聖闘士星矢 The Beginning』が公開されるなど、今なお根強い人気を誇っている。

 そんな本作に登場する聖闘士たちは皆、個性的かつド派手な必殺技を持つ。そのなかでもとんでもないリスクを背負う大技を持つのが、龍星座(ドラゴン)の聖闘士・紫龍だ。

 彼は「廬山昇龍覇」や「廬山龍飛翔」といった数々の必殺技を使いこなすが、そのなかでも最大の奥義にして、使用が禁じられた技が「廬山亢龍覇(ろざんこうりゅうは)」である。

 この技は、極限まで小宇宙(コスモ)を高めた紫龍が相手を羽交い絞めにし、驚異的な跳躍力で天高く飛び上がるというもの。

 相手と共に飛び上がるだけではあるのだが、その速度と高度はすさまじく、なんと上昇時に発生した摩擦熱によって相手を燃やし尽くす効果を持つ。技名に使われている「亢龍」とは、天高く昇りつめた龍を意味するのだが、その名の通り、熱と光を発しながら空を舞う姿はまさに龍そのものだ。

 敵を確実に葬り去る威力を誇る「廬山亢龍覇」だが、ともに飛翔する紫龍の体も当然無事では済まない。なんとこの技を放ったが最後、紫龍も同様に大気圏外で燃え尽き、絶命してしまうのである。

 己の命を燃やして相手を倒す……まさしく究極の必殺技と呼ぶにふさわしい大技といえるだろう。

■禁忌を破った代償は死…『美少女戦士セーラームーン』時間よ止まれ(タイム・ストップ)

 1991年から『なかよし』(講談社)にて連載された、武内直子さんの『美少女戦士セーラームーン』。

 本作では、星の守護を受けた少女たちがセーラー戦士へと変身し、人々の平和を脅かす敵と戦いを繰り広げていく。女性ヒーローものの先駆けとも呼べる伝説的作品で、アニメや舞台、実写化と、多様なメディア展開を続けている。

 可憐な少女たちが過酷な戦いに身を投じる本作において、命を賭して禁断の技を披露したのが、セーラープルートこと冥王せつなである。彼女は時空を司る戦士で、原作漫画では第2部から登場する。手にした杖「ガーネット・ロッド」で時空を操り、攻撃、防御、封印など多彩な技で仲間をサポートする存在だ。

 そんなセーラープルートの命がけの大技にして、決して使ってはいけない技が「時間よ止まれ(タイム・ストップ)」だ。その名の通り、周囲の時間を完全に停止させる究極の能力であり、ロッドから閃光を放った後、特定の人間以外のすべての時間を止めることができる。

 時空を司る彼女ならではの必殺技だが、実は「時間を止めてはならない」という制約を無視して放つ禁忌の技でもあった。

 そして、禁忌を破った場合に待ち受ける代償は「死」。世界滅亡をもくろむ敵を止め、仲間を救うために、彼女は己の命を犠牲にしてこの必殺技を放った。そして、結果として息を引き取ってしまう。

 世界を守るための勇気ある決断ではあったが、突如訪れた彼女の死は当時の読者に大きな衝撃を与えたのである。

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