『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1984年から連載開始された鳥山明さんの傑作『ドラゴンボール』。物語序盤は7つの球を集めるとどんな願いでもかなう秘宝「ドラゴンボール」を孫悟空らが探し求める冒険を描き、途中からは強敵たちとの壮絶なバトルを中心に展開された。
悟空を筆頭とする戦士たちは常に一線で戦い続けて圧倒的な強さを示したが、中には戦闘シーンこそ少なかったものの光る才能を見せたキャラクターもいた。
その中でも突出した素質を持っていたのが、元気玉によって消滅した魔人ブウの生まれ変わりであるウーブである。ウーブの秘めていた能力は悟空も認めるほどで、地球を守る後継者として育てるため、自らが修行をつけるほどだった。
しかし、『ドラゴンボール』の長い冒険を振り返ってみると、ウーブ以外にも隠れた逸材と呼べる者や、相当な素質を秘めていそうな者たちが存在する。わずかな戦いの中で見せた強さの片鱗や血筋などから、しっかり鍛えたら絶対に強くなりそうな3人を掘り下げていこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■殺し屋相手に根性と度胸を見せた幼い少年
聖地カリンの番人をつとめる戦士ボラの息子ウパが初登場したのは、ドラゴンボール争奪戦が熱かった「レッドリボン軍編」である。当時、小さな子どもだったウパは父を殺され、悟空まであっさり倒した殺し屋の桃白白に対し、復讐しようとオノを投げて攻撃。それをあっさり避けられて首をつかまれて命の危機に瀕しても、ドラゴンボールの場所を最後まで吐かない根性を見せた。
その後、占いババの館で行われた力試しの戦いにもウパは参加。先鋒のクリリンがドラキュラマンに敗れたのを目の当たりにしながら、ウパはプーアルとタッグを組んで戦いに臨む。
ウパは相手の弱点を冷静に突く、頭脳的な作戦でドラキュラマンを追い詰めると、最後はプーアルの変化能力で池に叩き落し、見事勝利をおさめた。
幼い頃からこれだけの「根性」と「度胸」を披露したウパは、厳しい修行にも耐え、強大な敵にも臆さない心を持っていたと思われる。
それにウパの父ボラは悟空と同じように銃弾が効かないほど屈強な肉体を持ち、虎の姿をしたイエロー大佐やレッドリボン軍の兵士たちをひとりで蹴散らすくらいの強さを誇った。
その血を受け継いだウパが、たとえば亀仙人のような師匠のもとで修業すれば、父を超える戦士に成長したとしてもおかしくはない。
また、ウパは筋斗雲に乗れたことも忘れてはならないポイントだ。清らかな心の持ち主であることと、その強さは直結しないと思われがちだが、筋斗雲に乗れたのは悟空とその子どもたちやウーブ、かつてのチチ、若い頃の亀仙人などそうそうたるメンバーばかりである。
強い父を持ち、度胸と根性を兼ね備え、清らかな心まで持っていた点で、悟空とウパは共通している。これだけ素質十分のウパが悟空たちと一緒に修行していれば、あるいはZ戦士として地球の頼もしい戦力になっていたかもしれない。
■修行嫌いの怠け者でなかったら地球人最強?
第22回天下一武道会の終了後、ピッコロ大魔王の配下であるタンバリンの手にかかってクリリンが命を落とす。その後、悟空の相棒のような立ち位置にいたのがヤジロベーだ。
彼はいきなり悟空と互角の戦いを繰り広げ、ドラゴンボールを狙ってやって来たピッコロ大魔王の配下シンバルを一刀両断した。
そしてシンバルより数倍強いとされるタンバリンの相手は悟空に譲ったものの、ヤジロベーの態度から余裕で倒せそうだった。さらには悟空を背負ったまま半日ほどでカリン塔を登り切っており、その身体能力は凄まじい。
その後は神様のもとで修行。それも渋々やらされた感が強かったが、それでも戦闘力は大幅にパワーアップ。サイヤ人襲来時には大猿となったベジータの尻尾を刀で切断するという、大ファインプレーを見せて貢献した。
ヤジロベーはまともな師について修行したことはないと思われたが、初登場時から彼の強さは悟空や天津飯に匹敵するものがあった。
残念ながら怠け者のため、神様のところで修行をしても気功波や舞空術など気をコントロールする技は使えないままだった。だが、もしも彼が本腰を入れて修行に打ち込んでいたら、地球人最強の戦士はヤジロベーだったことも考えられる。


