尾田栄一郎氏が描く大人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)では、主人公のモンキー・D・ルフィ率いる「麦わらの一味」が、冒険の途中で遭遇する強敵たちと数々の名勝負を繰り広げてきた。
作中にはさまざまな強者が登場するだけに、読者としては「もし対決したら?」と想像を膨らませてしまう魅力的な対戦カードがいくつもある。作中で実現する可能性は低いかもしれないが、仮にかなった時は歴史に残る名勝負、あるいは迷勝負となるであろう興味深い組み合わせも多い。
そこで今回は、さまざまな理由から実現してほしいと願う「夢のマッチ」の中から、特に注目度の高そうなカードを取り上げ、その勝敗がどうなるのかも予想してみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■四皇のNo.2同士の対決!「キングVSカタクリ」
新世界を統べる4名の皇帝、「四皇」。その中でも、百獣海賊団総督のカイドウ、ビッグ・マム海賊団を率いる“ビッグ・マム”ことシャーロット・リンリンの2名は長らく四皇として君臨し、海の覇権を争ってきた。しかも両者はかつてロックス海賊団に所属していたという過去があり、複雑な因縁を持つ間柄でもある。
両海賊団には、それぞれ「大看板」「スイート3将星」と呼ばれる最高幹部が存在し、その中のトップに位置するのがキングとシャーロット・カタクリである。彼らはカイドウおよびビッグ・マムに次ぐNo.2の立場にあり、いずれも懸賞金10億超えという規格外の海賊だ。
キングは、ルナーリア族という希少種族で固有の特性を持ち、極限環境にも適応する頑丈な肉体と、背中から燃え上がる炎を操るのが強みだ。さらに動物(ゾオン)系「リュウリュウの実 古代種 モデル プテラノドン」の能力によって飛行することも可能で、そのタフな肉体に加え、高い機動力と圧倒的な攻撃力を誇る。
対するカタクリは、見聞色の覇気を極限まで鍛え上げたことで、先の未来を見通す「未来視」を可能にしている。特殊な超人(パラミシア)系「モチモチの実」の能力と組み合わせることで、体を自在に変形させることで相手の攻撃を効率よく回避。さらに能力の覚醒によって、広範囲への攻撃も繰り出すなど、攻守のバランスに優れた戦闘スタイルを確立している。
もしもこの2人のマッチが実現したら、キングは頑丈な肉体で攻撃を受け切り、カタクリは未来視で攻撃を避け続ける構図になりそうで、長期戦は避けられないだろう。
どちらも四皇の右腕であり、極めて高い戦闘力を持つ強者だ。単純な能力の優劣だけでは勝敗は決まらず、一瞬の隙が命取りとなる緊迫した戦いが予想される。
■幸運の持ち主はどっち!?「ウソップVSバギー」
作中屈指のコミカルキャラクター同士の対決として注目されそうなのが、麦わらの一味の狙撃手・ウソップと、ひょんなことから四皇にまで上り詰めたバギーの一戦である。両者ともに実力以上の高評価を受けがちで、ギャグキャラとしてファンに愛されている点も共通している。
ウソップは臆病者ではあるが、狙撃手としての実力は本物。2年前の時点で、エニエス・ロビーの司法の塔から遠距離狙撃を成功させる離れ業を見せたが、2年後の世界では急成長する植物の種「ポップグリーン」を駆使した多彩な戦術を披露。「ドレスローザ編」では見聞色の覇気の覚醒らしき描写も見られ、超遠距離狙撃でシュガーを狙撃するという大金星を成し遂げている。
ドンキホーテファミリーの作戦を崩壊させたという功績から、「“ゴッド”ウソップ」の異名とともに5億ベリーの懸賞金がかけられたウソップ。当人の意図とは裏腹に、世界にその名を轟かせる狙撃手となった。
一方のバギーは、超人系「バラバラの実」の能力者で、あらゆる斬撃を無効化する特性を持つ。元海賊王のゴール・D・ロジャー率いるロジャー海賊団の見習いだった経歴こそあれど、作中ではバラバラの能力のほかに、バギー玉、マギー玉といった“仕込み武器”に頼る描写が多く、個人の基礎戦闘力は決して高そうには見えない。
しかし彼の真の強みは、異常なまでの「強運」と、なぜか人を惹きつける「カリスマ性」にある。インペルダウンの脱獄時やマリンフォード頂上戦争では、ほぼ運任せの行動ながら、なぜか周囲から過大評価され続け、ついには四皇の座にまで登り詰めている。そんな彼の現在の懸賞金は31億8900万ベリーと、数字上ではウソップを圧倒している。
両者とも見かけ倒しの要素を持ちながら、それぞれ異なる強みを持つ。ウソップは父譲りの狙撃という確かな実力を秘め、バギーはバラバラの能力と周囲を巻き込む天性の強運がある。
遠距離戦ではさすがにウソップが有利そうだが、バギーの強運が奇跡を呼び込み、予測不可能な展開になる可能性は否定できない。あるいは何らかのハプニングによって勝敗が曖昧になり、両者ともに「勝った!」と主張するような迷勝負になることも想像できる。


