一年戦争時に可変機があった…!? RX-78ガンダムに用意された「知られざる強化プラン」 「ガンダムGT-FOUR」に合体機「ガンダムGダッシュ」、「ガンダム高機動型」も…の画像
「ガンダムファクトリー限定 1/144 RX-78F00 HMT ガンダム高機動型 機動戦士ガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の主人公「アムロ・レイ」が、第1話で乗り込んだモビルスーツが「RX-78-2 ガンダム」。このガンダムは物語の途中で「マグネットコーティング」が施される強化は行われたものの、基本的にアムロは最後までこの機体で戦い抜いた。

 いわゆる乗り換えや大規模な改造などは行われておらず、それだけ一年戦争時のガンダムの完成度が高かったことを証明している。

 しかしテレビアニメには登場しなかったが、ゲームやコミックなどの外伝や関連作品には、RX-78ガンダムの強化機体が多数存在する。なかでも「フルアーマーガンダム」などは有名だが、それ以外にも、ちょっと特殊でマイナーなバリエーションが存在したのだ。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■まさかの合体強化も!? 「ガンダムGダッシュ」

 PCやピピンアットマークというハードで発売された『GUNDAM TACTICS MOBILITY FLEET0079』(バンダイ)というタイトルをご存知だろうか。

 同作は一年戦争をベースに作られた戦略シミュレーションゲームで、作中に「ガンダムGダッシュ(型式番号RX-78Opt.)」という強化仕様が登場する。

 それはガンダムの下半身パーツ(Bパーツ)の代わりに「Gダッシュパーツ」を換装した形態で、大小のブースターユニットを取りつけたもの。宇宙でのモビルアーマー戦を意識した、高機動仕様となっている。

 書籍『週刊ガンダム・モビルスーツ・バイブル 60号』(デアゴスティーニ・ジャパン)によれば、アニメ『機動戦士ガンダム』の劇中で一度だけ見せた「ガンダムMAモード」を発展させた形態であり、宇宙での高速戦闘により特化。その加速力は巡洋艦にも匹敵するとされている。

 またGダッシュパーツはウェポン・デバイスにもなっており、「フォールディング・ビーム・キャノン」という大火力兵器も使用可能だ。

 ガンダムの宇宙戦仕様としては理想的な形態にも見えるが、前述の『ガンダム・モビルスーツ・バイブル』の公式Xでは、「無理にガンダムを搭載する必要がなく、連邦軍の試行錯誤っぷりが如実に表れている」と評価していた。

 ただし、ガンダムにブースターユニット兼ウェポン・デバイスをドッキングさせるというコンセプトは、「ガンダム試作3号機 デンドロビウム」を思わせる。

 その後、デンドロビウムのコンセプトは、後年に開発される「Gフォートレス」などに発展したとされており、この試行錯誤もムダではなかったのかもしれない。

■Zガンダムの先輩? 可変機構まで備えた「ガンダムGT-FOUR」

 中原れい氏によるコミック『機動戦士ガンダム MSジェネレーション』(電撃コミックス)には、一年戦争末期に開発された可変機「ガンダムGT-FOUR(型式番号RX-78E)」が登場。終戦にともない制式採用はされなかったものの「Zガンダム」よりも先に開発された可変型ガンダムである。

 ガンダムGT-FOURは大気圏内での単独飛行を目的に開発されており、戦闘機形態のBモード、人型形態のGモード、そしてその中間形態であるFモードに変形が可能。その複雑さゆえか、パイロットの他に火器管制などを担うナビゲーターが同乗していた。

 開発経緯としては、ガンダム3号機である「G-3ガンダム」をベースにした開発計画「G-4計画」の産物であり、コミック『MSジェネレーション』によれば宇宙軍中心で開発されたのが「ガンダムNT-1 アレックス」、空軍中心で開発されたのが「GT-FOUR」だという。

 しかし目玉である大気圏内飛行能力は安定せず、Bモードは「航空機というより飛翔体」、Gモードは「変形機構により関節が貧弱」、Fモードでは「自由落下戦闘とあまり変わらない」と評価はさんざんであった。

 ただし、その後も可変機の研究開発は続けられ、アニメ『機動戦士Zガンダム』の舞台であるグリプス戦役の頃には、大気圏内を飛行可能な「アッシマー」や「ギャプラン」に結実したとされ、コミックオリジナルの設定ながら重要な意味を持つ機体といえそうだ。

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