■天真爛漫ながらも姉を支える強い妹『とと姉ちゃん』杉咲花

 そして、そんな高畑さんがヒロイン・小橋常子を演じた『とと姉ちゃん』で、存在感を示したのが杉咲花さんだ。彼女の妹である小橋美子を演じ、その高い演技力で一躍注目を集める女優となった。

 杉咲さんが演じた美子は、天真爛爛で愛らしい性格ながらも、姉を支える芯の強さを併せ持つという難しい役柄。しかし、5歳頃から演技のレッスンを始めていたという杉咲さんは、子役時代から培ってきた豊かな表現力で美子を見事に演じきり、視聴者に強い印象を残した。

 こうして『とと姉ちゃん』を機に、映画やドラマで重要な役を任されるようになった杉咲さん。2020年度後期からの朝ドラ『おちょやん』では、ついにヒロインの座を掴んだ。また、2019年のNHK大河ドラマいだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』では、一人二役という異例の配役で出演し、大きな反響を呼んだことも記憶に新しい。

■着物のメガネ姿でブレイク『あさが来た』吉岡里帆

 2015年度後期に放送された『あさが来た』は、実業家・広岡浅子さんをモデルにした主人公・今井あさ(結婚後:白岡)の人生を描いた物語だ。

 本作で注目されたのが、波瑠さん演じるあさの娘で、白岡千代の親友となる女学生・田村宜を演じた吉岡里穂さんである。

 吉岡さんが演じた宜は、丸メガネがトレードマークの生真面目な女学生であった。現在の吉岡さんとは対照的なイメージの役柄であったが、千代と真っ向から対立する姿や、あさのことを心から尊敬する真摯な演技が高く評価された。また、メガネの奥から覗く透明感のあるルックスも、大きな注目を集めた。

 『あさが来た』の出演当時は「のぶちゃん」の愛称で親しまれ、そのイメージが強かった吉岡さん。しかし、その後出演した結婚情報誌『ゼクシィ』のCMで華やかな姿を披露してインパクトを残し、以降は数々のドラマや映画で主演を務めるなど、幅広い役柄に対応する実力派女優へと成長を遂げた。

 

 今回紹介した女優たちは、朝ドラの脇役で脚光を浴び、その後、主演を張るまでの女優へと駆け上がった。ヒロインに注目が集まりがちな朝ドラではあるが、脇役も含めて、若手俳優の登竜門であるのは間違いないだろう。

 これから放送される朝ドラにおいても、ヒロインだけでなくその周りを固める「未来のスター候補」たちに注目だ。

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