人気女優への登竜門といえば、NHKの連続テレビ小説、通称「朝ドラ」への出演が挙げられる。朝ドラの主役に抜擢されることは、その後、人気女優として長く活躍するきっかけとなることが多いからだ。
しかし、朝ドラの魅力は主役だけにとどまらない。脇を固める登場人物にもスポットライトが当たり、その影響力は絶大である。ヒロインの親友や姉妹などを演じた女優が、放送後に一気にブレイクするケースも少なくないのだ。
そこで今回は、今やドラマや映画で主役級の活躍を見せる、記憶に残る朝ドラの脇役を演じた女優たちを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■「キョンキョンそっくり」と話題に! 主人公の母親の若き姿を演じた『あまちゃん』有村架純
2013年度前期に放送された『あまちゃん』は、岩手県の北三陸を舞台に、海女やアイドルを目指す女子高生・天野アキ(能年玲奈/現・のんさん)の奮闘を描いたドラマである。この作品で主人公・アキの母親・春子の若い頃を演じ、強烈な印象を残したのが有村架純さんである。
有村さんが演じたのは、本作の舞台である北三陸を飛び出し、アイドルを目指して上京するも夢に破れる若き日の春子である。その瑞々しい魅力と確かな演技力はもちろんのこと、現代の春子を演じた小泉今日子さんの若い頃の姿に似ていることでも話題になった。
昭和の流行であった「聖子ちゃんカット」がとてもよく似合っており、“アイドルになりたい!”と瞳を輝かせる姿は、多くの視聴者の心を掴んだ。
その後、有村さんは『あまちゃん』を足がかりに、数々のドラマや映画で主演を務め、2017年には朝ドラ『ひよっこ』でヒロインに抜擢されている。彼女の優しくも芯のある存在感は、今やドラマや映画界に欠かせないものとなっている。
■演技だけでなく高い歌唱力にも注目された『ごちそうさん』高畑充希
2013年度後期放送の朝ドラ『ごちそうさん』は、東京の洋食店の娘・卯野め以子(杏さん)が、食の力で大正から昭和の激動の時代を生き抜く物語だ。
本作でめ以子の義理の妹・西門希子を演じ、その高い歌唱力と演技力で注目を集めたのが、高畑充希さんである。
高畑さん演じる希子は、普段は口数が少なく引っ込み思案の少女だ。しかし、回を追うごとにめ以子の影響を受け、次第に内なる強さを見せていく。特に、彼女が人前で『焼氷有り〼の唄』を披露するシーンは、その圧巻の歌唱力が大きな話題となった。
ミュージカル『ピーターパン』で8代目ピーターパンを務めたり、歌手としてアルバムをリリースしたりと、ブレイク前から歌の実力は折り紙付きだった高畑さん。『ごちそうさん』でその歌声が披露されると、多くの視聴者にその才能が広く知れ渡ることとなった。
本作でブレイクした高畑さんはその後、数々のテレビドラマで重要な役柄を演じ、2016年には朝ドラ『とと姉ちゃん』で主役の座を射止めた。以降も、ミュージカルやドラマなど、多方面でその個性的な魅力を発揮し続けている。


