染谷将太の『果てしなきスカーレット』イチオシな点「映画のために作られた楽器もある」劇場ならではの臨場感と音響の没入感の画像
『果てしなきスカーレット』メインビジュアル ⓒ2025 スタジオ地図

 2025年11月21日より公開中の細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』。国の王である父の復讐に失敗した王女スカーレットが「死者の国」で目覚め、現代日本から来た看護師の聖と出会い、共に旅をする中で心境が変化していく物語です。

 本作で、スカーレットの命を狙う「ギルデンスターン」の声優を務めたのは、俳優の染谷将太さん。キャラクターの声を作るうえで意識したことや作品の感想、実写とアニメの違いなどをお聞きしました。

【第1回/全2回】

――以前、トーク番組で「漫画『浦安鉄筋家族』のセリフを音読しながら練習をしていたことがある」と話していましたが、今作の「ギルデンスターン」の声やセリフ回しなどでどこか活かされたことはありますか?

染谷将太(以下、染谷) 自分が昔、漫画を朗読していたということで言うと、それは絶対にあると思います。

――ギルデンスターンは話し方や笑い声も独特でしたよね。

染谷 アニメはまず、キャラクターデザインがあります。今回のギルデンスターンは見たらすぐに「悪」と分かるような風貌だったので、「あの顔で笑ったら、どんな声を出すのかな?」と考えました。それに、誰が聞いても「こいつは悪役だ」という認識をちゃんと持てるようにするために、どんな表現の仕方をすればいいのかなということを考えて臨みました。

 今回、細田監督からも「とにかく大きく」といったことを求められていたので、それに応えるように尽力した結果、ああいった感じになりましたね。

――主人公であるスカーレット役の芦田愛菜さんや、聖役の岡田将生さん、クローディアス役の役所広司さんをはじめ、ボイスキャストにはそうそうたる役者さんの顔ぶれが揃っています。お芝居の現場ではなく、作品を通してみなさんと「声」で共演されたことについて、いかがでしたか?

染谷 不思議な気持ちですね。特に役所さんとは声でしか共演をしたことがないので、いつか実際に共演させていただきたいと願っています(笑)。作品全体を通して、素敵な方々と一緒に一つのピースになれたことはとても嬉しかったです。

――ギルデンスターンとともに、スカーレットの命を狙うローゼンクランツ役を担当した青木崇高さんとの絶妙な掛け合いもありました。お二人でどんな関係性を作っていかれたのでしょうか。

染谷 今回は青木さんとの掛け合いが一番多かったので、一緒に収録できたことは本当に良かったです。青木さんに引っ張られながら、一緒にキャラクターを作り上げていったところはありました。

青木さんはご自身でどんどんキャラクターを構築されていたんですね。自分もそれに引っ張ってもらったところもありますし、掛け合いながら自分も作り上げていった感じで、普段、映像などの現場で一緒にお芝居するのとはまた違う感覚の共同作業でした。

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