■戦隊初の女幹部は、昭和少女をとりこにした人気女子レスラー サロメ

 第3作目の『バトルフィーバーJ』(1979年)の第19話より登場した、自称“世界最強の美女”サロメは、スーパー戦隊シリーズ史上初の女幹部である。

 演じたマキ上田さんは女子プロレスラー出身で、ジャッキー佐藤さんと1976年に組んだタッグ「ビューティ・ペア」は絶大な人気を誇った。当時二人はアイドル並みの人気で、レコードも発売して大ヒット。

 特に昭和少女にとって、彼女たちは憧れの存在だった。筆者も彼女たちに魅了され、代表曲の『かけめぐる青春』(1976年)を歌って踊った記憶がある。

 サロメは秘密結社エゴスに所属し、ヘッダー指揮官がアメリカから招いた弟子。格闘技主体の戦いを得意とし、バトルフィーバーの必殺技「ペンタフォース」を耐え抜くほどの強靭な肉体を持つ。当然、歴代女幹部の中で最も筋肉質なボディを誇る。

 変装の名人であるサロメが常に携帯している手鏡は、敵を感電させたり発信機にもなる万能道具だが、彼女はこれを打撃武器としても使うパワー系女子。時には怪人をバカにするなど、口が悪いのも御愛嬌だ。

 だが、第51話で人格者である師・ヘッダーの死を目の当たりにして涙を流す場面も。最強の女幹部ながら、そんな人間味のある部分も魅力的だった。

 最終回となる第52話では、変装でバトルフィーバーをおびき寄せるも逆に追い詰められ、エゴス本部基地の爆発に巻き込まれて寂しい最期を迎える。

 なお、有名人が女幹部を演じた例は他にもあり、第6作『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)では暗黒科学帝国デスダークの女科学者ザゾリヤ博士役を、『太陽がくれた季節』などの名曲で知られるフォークグループ「青い三角定規」の西口久美子さんが演じている。ちなみに『ゴーグルファイブ』ではデスダークの女スパイ・マズルカも人気だった。


 昭和のスーパー戦隊シリーズの女幹部たちは、ヒーローに匹敵するぐらい存在感があった。また女幹部といえばお色気シーンも多く、『科学戦隊ダイナマン』(1983年)では香野麻里さん演じる王女キメラが、水浴び中にダイナブラックによって服を盗まれ、バスタオル一枚で基地に逃げ帰るシーンなども印象的だった。

 50年続いたスーパー戦隊シリーズを語るうえで、彼女たちのような女幹部の魅力も欠かせない要素といえるだろう。

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