■戦闘専門ではなく植物学者!? ヘラクレスン
“偉大なる航路(グランドライン)”に浮かぶボーイン列島。その1つ、巨大な食虫植物が島を形成するグリンストンにたった1人で暮らしているのが、ヘラクレスンだ。島全域に凶暴な植物や昆虫がのさばるこの危険地帯で、彼は長年サバイバル生活を続けてきた。
戦い方は独特で、島に自生する種子「ポップグリーン」を用いた多彩な植物攻撃と、カブトムシのような重装備に身を包みながらも、高い機動力を活かした格闘術を武器としている。
シャボンディ諸島でバーソロミュー・くまにより飛ばされてきたウソップは、ヘラクレスンと出会って弟子入りする。彼はウソップに2年間、この過酷な環境で生き抜く術とポップグリーンの扱いを叩き込み、成長を促した。まさに「森の勇者」を名乗るにふさわしい人物である。
ヘラクレスンは自身の素性をほとんど明かしていなかったが、その正体は世界中の植物を研究する植物学者だということが明らかになっている。28年前に仲間と旅に出て、25年前にグリンストンに上陸。しかし、過酷すぎる環境のため仲間は命を落とし、彼だけが生き残って研究を続けてきたという背景を持つ。
このようにヘラクレスンは研究職であり、戦闘の専門家ではない。にもかかわらず、常に命の危険に晒される環境で何十年も生き延びてきた精神力と適応力、そして植物に関する深い知識は、総合的に見て常軌を逸したレベルにあるといって差し支えないだろう。
物語が最終章に入った『ONE PIECE』では、四皇をはじめとする最高峰の戦力が明らかになってきた。そして強者の基準そのものは、もはや天井知らずになりつつある。
しかし、本記事で紹介したように、その物差しでは測れない強さを持つ者たちもいる。世界すら相手取る信念を持ったジャーナリスト、愛情の深さゆえに英雄にも拳を振るう育ての親、そして過酷な島で探求しながら生き続ける学者など、一般人の中でも十分強者といえる人物は存在するのだ。
強者たちのインフレが進む今だからこそ、彼らのような異なる尺度で輝く強者に目を向けてみてはいかがだろうか。『ONE PIECE』という世界の広さと物語の奥深さを、再認識できるはずだ。


