■「痛いか?」「痛い!!」「助かりたいか?」「助かりたい」最後までシュールな展開が続いたザコ

 「あえて賞金首に!の巻」で、ケンシロウからツッコミを食らって撃沈したザコは、賞金稼ぎアインの仲間であったレンというザコだ。

 アインを裏切り、彼の娘・アスカを人質に取ったレンは、ここぞとばかりにアインをいたぶる。だが、そこに現れたケンシロウによって、レンは額にナイフを突き立てられた。

 その際、「痛いか?」「いっ 痛い!!」「助かりたいか?」「助かりたい 助かりたい」という、テンポの良い問答を繰り広げるが、ケンシロウは非情にも「だめだな」と、ひと言。

 徐々に自分の額にナイフがめり込んでいく中、レンは「やめてとめてやめてとめてやめてぇ!!」と絶叫し、ナイフが頭部を貫通すると「とめった!!」という断末魔を残して倒れるのであった。

 端から見るととても残酷な描写なのだが、ケンシロウとレンのテンポのいい小気味良いやり取りはなんだかコントを見ているようにも感じた。「とめった!!」の断末魔もなんともシュールで、記憶に残るワンシーンとなった。

■ケンシロウのツッコミといえばこのセリフ「おまえのようなババアがいるか!」

 最後に、ケンシロウのツッコミがあまりにも有名なザコを紹介しよう。それが、「迫りくる魔獣!の巻」に登場する、通称「でかいババア」だ。

 カサンドラでの戦いを終え、病を抱えたトキを休ませるため1軒の小屋に寄ったケンシロウとマミヤたち。そこで水を提供してくれたのは、マミヤの2倍ほどもある巨大な老婆だった。

 ケンシロウはその老婆に対し「その水のんでみろ」と挑発。「あたしは今のんだばかりで」と断る老婆だったが、それでも「いいからのんでみろ」と、さらに勧めるケンシロウ。

 実はこれは毒入りの水であり、その老婆は拳王軍に属するザコだった。見破られたと悟ったザコは本性を現し、ケンシロウたちを襲う。

 「おれの変装をみやぶっていたのか~~!!」と悔しがるザコに対し、ケンシロウは冷静に「おまえのようなババアがいるか!!」ともっともなツッコミを入れ、一撃で葬り去るのである。

 『北斗の拳』のザコキャラは怖さよりも面白いというイメージがあるが、それを決定づけたのはこの“でかいババア”かもしれない。そのインパクトのあるビジュアルと怪しげな物言いは、世紀末の世界において不条理な笑いをもたらしたのである。

 

 ふだん寡黙なケンシロウだからこそ、時折放たれるザコへのひと言は強烈なインパクトを残す。そのツッコミは冷静沈着かつ的を射ており、血気盛んなザコとは対照的で、じわじわと込み上げる笑いにつながるのだ。

 2026年1月にはTOKYO MXやAT-Xなどで、ザコたちを主演にしたスピンオフアニメ『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』が放送される。原作ではケンシロウの前であっけなく散ったザコたちがどのような活躍を見せるのか、ファンにとっては見逃せない作品である。

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