■悟空の能力をテクニカルでサポートした「ブルマ親子」
最後に紹介するのは、『ドラゴンボール』全編を通して悟空を支え続けた天才親子、ブルマとブリーフ博士だ。
そもそも、ドラゴンボールはブルマが発明した「ドラゴンレーダー」がなければ探すことができない。これがなければ、悟空の冒険は始まることもなかっただろう。
また、戦闘力が可視化される「スカウター」の修理をブルマが担う場面もあり、彼女の頭脳と技術力がなければ、物語がこれほど壮大なスケールになることはなかったかもしれない。
ブルマの父親であるブリーフ博士もまた、普段はマイペースで穏やかな性格だが、世界的な大企業カプセルコーポレーションを創設した天才科学者だ。
「フリーザ編」では、悟空が乗る宇宙船の改造を担当。“人工重力装置をつけてくれ”という悟空の無茶なオーダーにもたやすく応じ、最大100Gまで出せる重力装置を開発した。さらに、その宇宙船はスイッチを押すだけで地球からナメック星までたった6日で到着できる仕様になっており、このような宇宙船を作り上げた博士はやはり天才である。
思い立ったら即行動するブルマの行動力と、それを技術面で完璧にバックアップした父・ブリーフ博士。この親子の知性と技術力の連携がなければ、悟空たちはナメック星にたどり着くことすらできず、フリーザをはじめとする強敵に勝つことも難しかっただろう。
一見すると個性の強いユニークな親子だが、悟空と地球を幾度となく救った最強の支援者であることは間違いない。
物語が始まった当初、育ての祖父・孫悟飯を失くして天涯孤独の身であった悟空。しかし、冒険の中でこうした温かい親子たちの絆に触れることで、悟空は強さだけでなく人の心の温かさも学んでいったのだろう。
『ドラゴンボール』をあらためて読み返す際は、手に汗握るバトル展開だけでなく、こうした親子たちのドラマにも注目してみてはいかがだろうか。作品の新たな魅力に気づかされるかもしれない。


