■まさかのシリアス展開も…アニメ版での数々の神演出
上述したように「愛・友情・冒険」と少女たちの好きな要素が詰め込まれている『ふしぎ遊戯』。だが、“少女向け作品”だと油断していたら裏切られることとなる。作中ではコミカルなギャグシーンも多い一方、一緒に旅を続けてきた仲間が命を落とすというショッキングな展開もあるのだ。
一番初めに命を落とすのが、ムードメーカー的存在だった柳宿である。仲間のいない場所で1人敵と戦い、駆けつけた仲間に看取られながら息を引き取るシーンは、涙なしには見られなかった。
アニメ第33話「柳宿、永遠の別離」のエンディングは、柳宿の担当声優の坂本千夏さんによるキャラクターソング『風の旋律』に差し替えられるという特別な演出、いわゆる“特殊エンディング”となっていた。この楽曲は柳宿の生きざまを思わせる歌詞であり、曲の終わりに目を閉じて微笑む柳宿の表情とともに、「柳宿 坂本千夏」と最後にクレジットが出された。
命を落とした柳宿を連れて行くことはできず、みんなで雪山に埋葬するという急なシリアス展開には、主人公一行同様、なかなか心がついていかなかったことを覚えている。
その後も最終決戦までに多くの仲間が犠牲となる。特に幼い張宿が、自身の体内に取り込んだ敵を倒すために自害するシーンは、胸が締め付けられる展開だった。
アニメ版『ふしぎ遊戯』の魅力は他にもある。オープニングテーマの『いとおしい人のために』と、エンディングテーマの『ときめきの導火線』は、いずれも作品の世界観を表現した名曲として知られている。特に、ストーリーのラストシーンにエンディングの印象的なイントロが重なる演出は、物語の余韻を深めた。
『ふしぎ遊戯』の世界は、テレビアニメ本編にとどまらない。テレビシリーズ後のアニメオリジナルエピソードのOVAや、原作第2部をアニメ化したOVA、外伝小説の『ふしぎ遊戯 ー永光伝ー』をOVAにした作品も存在する。『永光伝』では、朱雀の2代目巫女・榊真夜を主人公とした物語が展開された。
アニメで描かれたのは朱雀と青龍の話であるが、本編でも少し触れられている玄武の巫女及び玄武七星士を主とした『ふしぎ遊戯 玄武開伝』(全12巻)や、白虎の巫女及び玄武七星士を主とした『ふしぎ遊戯 白虎仙記』(既刊5巻)も存在する。
これらはそれぞれ独立した物語ではあるが、他作品への伏線や物語の世界観に繋がるものもあるので、ファンにとっては作品が地続きであるようで嬉しい。
世代を超えて熱心なファン層に支持され続けている『ふしぎ遊戯』。アニメ30周年を迎えたことで、新たな動きについ期待してしまう。


