10月7日に放送された第1話から話題を独占し、回を追うごとに熱量を増していったドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)。別れから始まった勝男と鮎美の不器用な恋も、いよいよ残すところあと1話となり、SNSでは惜しむ声が上がっている。
古い価値観に自分を縛りつけていた二人は、料理やさまざまな出会いを通して少しずつ自分を見直し、相手を見る目をアップデートさせてきた。
そして12月2日放送の第9話が終わった今、視聴者の関心はただ一つ。「勝男と鮎美はカップルに戻るのか?」ということである。そこで今回は、これまでの二人の歩みを振り返りながら、最終回の行方を予想していきたい。
■凝り固まったジェンダー観を打ち破っていく勝男と鮎美
イケメンハイスぺな勝男(竹内涼真さん)と料理上手で可愛らしい鮎美(夏帆さん)は、大学時代にミスター&ミスコンテストに優勝したこともあるほど完璧なカップルだった。本作は、そんな勝男の一世一代のプロポーズが失敗に終わるという衝撃展開から幕を開けた。
原因は、彼の「女は家で料理を作って待つのが幸せ」といった昭和的価値観と、そこからくる無神経な発言の数々。プロポーズ失敗後も勝男はその価値観がにじむ発言を繰り返し、令和の感覚とはズレた言動に視聴者からもツッコミが飛び、第1話放送後は勝男へのネガティブな反応がSNSでも目立った。
しかし、第一印象が悪い人ほど変わり始めると好感度が爆上がりするもの。勝男もまさにそのタイプだった。彼は人の言葉を素直に受け止める性格で、後輩の助言をきっかけに鮎美の料理に挑戦しながら自分の価値観と真摯に向き合い始める。その誠実さが見えるにつれ、勝男の評価は「嫌な男」から「応援したい男」へと変わっていった。
一方の鮎美は押し込めてきた自分を解放するように新しい世界に踏み出し、酒店店員・ミナトと恋愛関係に発展する。しかし大量消費型恋愛体質のミナトとは結婚観が噛み合わず、別れることに。しかしそんな経験の中で、鮎美もまた価値観を改め、自分らしさを見つけていった。
物語の中盤では、勝男と鮎美の偶然の再会が増え、互いの変化にも気づき始める。この頃から二人の視線には揺らぎがあり、その絶妙な距離感を見て「これはヨリを戻す流れ?」と期待した視聴者も多いはずだ。
そんな中で放送された第9話。勝男は新規プロジェクトで組むことになった柳沢との間にトラブルが発生。親しくなろうと飲みに誘ったり、おにぎりを作ったりしたところ、仕事以外の無駄な関わりは持たない令和型な働き方を貫く柳沢から、パワハラとして報告されてしまったのだ。
ドライな柳沢と熱血な勝男は相性が悪かったことも大きいだろう。だがこれは勝男にとっては心が折れる出来事で、人に歩み寄ることの難しさを改めて突きつけられる形となった。
その裏では、鮎美にも思わぬ悲劇が降りかかっていた。飲食店開業の誘いを受けて退職したタイミングでその話が詐欺だと判明し、100万円を失ってしまったのだ。
失意の中でふたりはまたも偶然の再会を果たし、互いの身に起きた出来事を語り合ううちに自然とデートのような時間を共有することに。そこには、以前よりも自分の気持ちに正直になったふたりの楽しそうな姿があった。
そして迎えたラストシーン。勝男が「もう一回やり直そう。今の俺たちならうまくいくと思う」と告白し、物語は幕を閉じる。
視聴者からは「ついにきた!」「よく言えた!」と歓喜の声が上がり、SNSは一気に盛り上がったが、ふたりの関係はどこへ向かうのだろうか。


