■演じたキャラクターの「好きなところ」

ーーそういった背景も加味して見ると、より楽しめそうです。前作は同窓会で再会したふたりの“セフレ関係”が始まったばかりで、不倫でもあったし、セフレと恋愛することの切なさなどもありました。が、今作は気心の知れた安心できる仲に進化している場面もありますよね。お互いのキャラクターに愛着が湧いていると思いますが、それぞれご自身の役柄のどんなところがお好きですか?

行平 抄子、好きですね。ちゃんと感情の起伏を表に出せる人だから、どんなことがあっても対人関係を諦めないんです。私は結構対人関係を諦めがちなんですが、抄子はなにがあってもちゃんと人とコミュニケーションを取ろうとする努力をしているのが、本当に素晴らしくて大好きです。一方で、「ちょっと抄子……いいかげんにしなよ……」と思うのは、自暴自棄になるところです。「なにそのわかりやすい闇落ちは!? そんなの早めに済ませておきなさいよ!」と思います(笑)。

ーーたしかに、ゆきずりの男と遊んでみたり、わかりやすくグレますね(笑)。一樹はいかがでしょう。

青柳 基本的には好きですが、苦手な部分は前作のほうがあったかな。わりとキザな台詞もあったので、そういうときはどうしようかなと思いましたが、今回はそんなになかったので。

ーーたしかに、今作は口数が少ない印象でした。ではそれぞれの相手役についてはいかがですか?

行平 一樹はああ見えて連絡がマメなところが好きです。意外と細かいところがね。

青柳 たしかによく連絡してますよね(笑)。

行平 「いつもあんな感じなのに、連絡はするんだ」「リモートで一緒に飲んでくれるんだ」みたいな。そこはつっけんどんじゃない感じがいいですよね。離れていても連絡してくれる。離れているときのほうが、人間、もろもろ出やすいですからね。そこをちゃんとカバーしてくれて、“一樹、やるなあ”って思います。

青柳 僕は抄子の、お母さんのときとそうじゃないときのバランスがすごく素敵だなと思います。もちろん娘の前と一樹の前とで別人格ではないと思いますが、何事にもまっすぐ向き合っていく姿勢がすごくステキだなと思います。

ーー1人娘の母親という顔もあり、娘とのフラットな関係性に、肝が据わっているなと感じます。抄子と一樹は今回、抄子の元夫が起こす衝撃的な事件に巻き込まれるなど修羅場も降りかかり、ふたりの仲が危ぶまれるシーンもあります。ですが、なにがあってもお互いへの愛情を感じます。行平さんが自身のXに「『こんなに人を好きになったことはない』と言える役で、反動でまったく動けなくなった」などポストされていて、作品への愛を感じました。

行平 現場の雰囲気がどうなるのかは監督の存在が大きいんですが、でもやっぱり現場っていろんなところで事件が起こるんですよね。そういうときに、みんなちゃんと待てる現場でした。何事も起きていないようにみんなが過ごすことができる、とてもいい雰囲気で。みんなでひとつの作品を「作るぞ!」と向かっている感じは、“愛”、ですよね。みんなが作品に対して愛情を持っていたと思います。実は、普段はクランクアップのときに泣いたりしないんですけど、今回はボロ泣きしちゃって。離れがたくて寂しくなるほど、大好きな現場でしたね。うわさに聞くと、城定監督ももらい泣きしていたらしいです(笑)。

(つづく)

■作品情報
『セフレの品格 慟哭/終恋』12月12日(金)全国公開
(『慟哭』は都内先行上映中)
原作:湊よりこ『セフレの品格(プライド)』(双葉社 JOUR COMICS)
出演:行平あい佳 青柳翔
監督:城定秀夫
企画・製作・配給:日活
公式サイト:https://sfriends-pride-movie.com/

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