■発動条件は「チュー」『僕のヒーローアカデミア』リカバリーガール
人口の約8割が「個性」と呼ばれる能力を持つことが当たり前となった世界で、無個性の少年・緑谷出久が憧れのヒーローを目指し、戦いと葛藤を乗り越えていく『僕のヒーローアカデミア』(堀越耕平氏)。
作中には、日常使いできるものから戦闘向きなものまで多種多様な個性が登場する。
その中で、強力な治癒能力の個性を持つのが、ヒーロー輩出の名門・雄英高校に勤める女性看護教諭・リカバリーガールだ。
小柄で優しそうな老婆であるリカバリーガールは、雄英高校に最も長く勤務する大ベテランで、オールマイトやエンデヴァーといったトップヒーローたちの若き日も知る貴重な人物だ。
そんな彼女の個性は、その名の通り「癒し」。対象が本来持つ治癒力を活性化させ、どんな大ケガでも短時間で修復するという、実にスタンダードな治癒能力だ。ただし、この個性は対象の体力を著しく消耗させてしまうため、あまりに重症の場合、体力が尽きて死亡する恐れがあるなど、デメリットも存在する。
そして、この個性を発動する条件がかなりユニークだ。それは、リカバリーガールが対象にキスをすること。「チュー!」の掛け声とともに繰り出される熱烈なキスは、なんともインパクト大。その頼もしい効果と予想外の発動方法で、読者に強い印象を残した治癒能力である。
■一見ユニークな能力だけど…『HUNTER×HUNTER』ビスケット=クルーガー
探求心に突き動かされ、未知の存在を追い求めるハンターたちの熱い戦いを描く『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博氏)。作中には、“念”と呼ばれる生命エネルギーを用いた多種多様な能力が登場する。
ハンターのなかには治癒効果を持つ念能力者も存在するが、なかでも特にユニークだったのが、ストーンハンターとして活躍するビスケット=クルーガー(ビスケ)だ。
彼女の能力は具現化系能力「魔法美容師(まじかるエステ)」。“クッキィちゃん”と呼ばれるエステティシャンの女性を召喚し、彼女が施術するマッサージを通じて、さまざまな治癒効果を得ることができる。
これだけだと少しコミカルな印象だが、その効果は一級品。美容・健康・疲労回復といった効果はもちろん、なかでも「桃色吐息(ピアノマッサージ)」は、たった30分で8時間睡眠と同等の疲労回復効果をもたらすなど、まさに破格の性能を誇る。
これほどの凄まじい能力を、デメリットを感じさせず発動させるあたり、ビスケの底知れない力量を感じざるをえない。
日々、疲れが取れない現代人ならば、誰しも喉から手が出るほど欲しい念能力ではないだろうか。
ここまで見てきたように、バトル漫画における治療能力は、仲間たちを守る生命線として大いに活躍している。手軽に使えるものもあれば、なかには発動するために多大な制約があったりと、作品によって使用条件やリスクもさまざまだ。
仲間たちが消耗したピンチの場面こそ、彼らの治癒能力が起死回生の一手となり、物語を大きく動かすのである。


