■池津祥子さんってどんな女優? 実はあの名作ドラマにも…

 今回の第8話で、メインキャラとも言える「化石母」を、葛藤と愛情を交えながら見事に演じた池津祥子さん。勝男に向ける親の愛情や、不器用ながらも憎めない勝に向ける想いの繊細な表現は、多くの視聴者の心を揺さぶった。

 そんな池津さんは、1990年から松尾スズキさん率いる劇団「大人計画」に所属し、舞台で確かな演技力を積み上げてきた実力派であり、バイプレイヤーとして数多くのドラマに出演してきた。

 勝男の母のイメージからはまったくほど遠いが、2000年のドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系、以下IWGP)の「ジェシー」と聞いてそのインパクトのある姿をありありと思い出せる人は多いのではないか。

 池津さんが演じていたのは、キングことカラーギャング「G-Boys」のリーダー・タカシ(窪塚洋介さん)の恋人・ジェシー。金髪ロングにパンクロックな衣装、突然飛び出すロシア語とぶっ飛んだ行動の数々と、とにかくすべてが強烈で個性派揃いの「IWGP」の中でも強い存在感を放っていた人物だ。

 実は金髪はカツラであり、本編終盤では敵ギャングの襲撃に遭いカツラを剥がれ、黒縁メガネの柔道着姿にさせられる場面もあった。キングの目の前に立ってもジェシーと認識されず彼女が号泣してしまう悲しいギャグシーンだったが、脇役でありながらもインパクト抜群のキャラが見事にハマっていた。

 『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が放送されると、リアルタイムで「IWGP」を見ていた視聴者からは「ジェシーが出てる!」「勝男のお母さんはジェシーだったの?」といった声が続出。令和に入ってもなお、ジェシーが視聴者の間で生き続けている証拠だろう。

 そして池津さんは、「IWGP」以降も映画やドラマにひっぱりだこな名バイプレイヤーとなっていく。

 2019年には大ヒットドラマ『あなたの番です 反撃編』(日本テレビ系列)で402号室の住人・榎本家のサンダーソン正子役として出演。派手なビジュアルながら、甥の正一を思って行動する叔母として爪痕を残した。 

 なお、『あなたの番です』には、「IWGP」でタカシの新恋人・キャシーを演じた峯村リエさんも出演している。金髪ウィッグがトレードマークだったジェシー&キャシーのキャスティングに、またしてもファンが沸いたことは言うまでもない。

 その後も池津さんの活躍はとどまらない。2025年には『じゃあつく』のほか、NHK連続テレビ小説『あんぱん』で国防婦人会のボス・餅田民江役、映画『愛されなくても別に』『ストロベリームーン 余命半年の恋』、NHKドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』など多彩な作品に出演。作品ごとにまったく違う顔を見せる女優として、長らく活躍している。

 舞台で磨き上げた表現力とテレビドラマで見せる多彩な表情で、作品ごとに存在感を放つ池津さん。『じゃあ、あんたが』でも、陽子という母の強さと優しさを繊細に表現し、今後も勝男の成長に寄り添ってくれることだろう。

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