■第40話「キケンなあいのり」コメディ全開!黄色いジャージで爆走する怪演回

 第40話「キケンなあいのり」は、志田さんのコメディエンヌとしての才能が発揮された回だ。

 運転免許取得のため教習所に通うはるかは、すでに“教官殺し”の異名を持つほどの問題児として描かれていた。なぜかブルース・リーを彷彿させる黄色いジャージにヘルメットという振り切ったスタイルで登場し、冒頭からインパクト抜群。

 教官歴30年のベテラン、武藤教官との熱血指導シーンでは、暴走気味にアクセルを踏み込む。志田さんのコミカルで大げさなリアクションが冴えわたり、その瞬間から物語は予測不能なカオス展開へと突入していく。

 極めつけは、路上教習中に突如として様子が一変し、「ヒッヒッヒッ……ホーホホホ!」と、寄声を発しながら謎テンションで豹変する怪演パートだ。表情も声も全身で振り切る演技に圧倒され、度肝を抜かれた視聴者は少なくなかっただろう。

 さらにその勢いのまま、まさかのドンムラサメをはね飛ばすという衝撃展開へ。テンションの振り幅と表現力の大きさを思い切り示したこの回は、“志田こはくはコメディもこなせる”という評価を決定づけたエピソードとなった。

■最終話「えんができたな」ほろ苦い別れ…『ドンブラザーズ』らしいラスト

 破天荒な1年を駆け抜けた『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』だが、最終話「えんができたな」は、意外にも切なさに包まれたエピソードであった。

 主人公・桃井タロウは、オニシスターをはじめとしたお供たちとの記憶をすべて失いつつあった。別れを悟るタロウと、その事実をまだ知らないはるか。対照的な2人の掛け合いが胸に迫る。

 “ドンブラザーズになったことを後悔しているか”というタロウの問いに対し、はるかは迷いなく笑ってこう答える。「ぜーんぜん!」「前より人間が好きになった気がする……かな」と。

 その無邪気な笑顔が、かえって別れの切なさを際立たせる。立ち去るタロウの背中を、どこか様子がおかしいと不安げに見送るはるか。志田さんの自然体の芝居が、強い余韻を残す名場面である。

 そして、ど派手なラストバトルを終えると、タロウは仲間たちの前から静かに姿を消す。その後、はるかは漫画家として再び成功し、ドンブラザーズとしての戦いの日々は続いているものの、タロウのいた場所にはぽっかりとした穴が残されていた。

 そんなある日、はるかの家のチャイムが鳴る。玄関に立っていたのは、荷物を届けに来た1人の配達員。それは、記憶を失った桃井タロウだった。

 「縁が出来たな」。その一言ですべての物語がつながる。まさに『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』らしいラストであった。

 

 『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』での代役発表が大きな話題を呼んだのは、志田こはくさんが『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』での1年間を通して証明した、唯一無二のヒロイン性ゆえだろう。泣いて、笑って、暴れて、突き進む。その1つ1つの瞬間が視聴者の心に刻まれていたからこそ、今回の抜擢は大きな支持を得たのだ。

 二本角のオニから一本角のユニコーンへ。役を越えてシリーズのピンチへ駆けつけたその姿は、まさしくヒロインと呼ぶにふさわしい。

 再び『スーパー戦隊シリーズ』と“縁”をつないだ志田さんが、ここからどんなドラマを見せてくれるのか。ファンの期待は膨らむばかりである。

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