■大門刑事よ永遠に…渡哲也さん演じる団長も思わぬ敵により殉職

 渡さんが演じた大門圭介、通称「団長」は『西部警察』シリーズにおける絶対的な主人公である。しかしそんな団長もまた、「PART-III」の最終回スペシャル「さよなら西部警察 大門死す!男達よ永遠に…」で殉職している。

 最終回で大門軍団は凶悪な国際テロリストの藤崎礼二(原田芳雄さん)らを追い、彼らが潜む要塞へ突入する。

 激闘の末、人質を救出し藤崎を倒すが、藤崎は死の間際にダイナマイトを爆発させる。団長も爆発に巻き込まれたかと思われたが、何とか逃れ、ふらつきながら仲間の元へ現れる。

 その姿に安堵した部下たちだったが、その瞬間、隠れていた藤崎の愛人に胸を撃たれ、団長は殉職してしまうのだ。血を流して倒れる大門を抱え、悲痛な叫びをあげる部下たち。そして、その知らせを聞いた木暮謙三課長(石原裕次郎さん)も、目を見開き、絶句するのであった。

 大門の殉職が描かれた本作は、84年10月に3時間もの大長編として放送された。最強の主人公が、思わぬ人物の凶弾に倒れるという結末は非常にショッキングだったが、常にドラマチックな展開を続けてきた本作にはふさわしい最期だったかもしれない。

 長きにわたりシリーズを支え、まさに無敵の存在であった団長の死は『西部警察』という時代の終焉を視聴者に強く印象づけた。

 

 爆発に巻き込まれての死亡や、マシンガンでの銃殺、テロリストによる攻撃など、いずれも過激な攻撃で壮絶な殉職を遂げた『西部警察』の刑事たち。

 現代の日本ではこうした事例が実際に起きることは少ないため、その過激な設定に驚いてしまう人も少なくないだろう。しかし『西部警察』ではこうした最期がドラマチックに描かれ、“漢”としての生き様や美学を教えてくれたのである。

 今なお多くの人々の記憶に残る『西部警察』。この機会に視聴してみてはいかがだろうか。

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