■後に名作を生み出す作家たちも続々と登場
ドラクエ4コマには、柴田さんのようにこの作品をきっかけにキャリアを伸ばしていった作家が多数存在する。『魔法陣グルグル』の作者である衛藤ヒロユキさんもその一人だ。
衛藤さんは、1985年に「時計屋の娘」で漫画家デビュー。その後、レコード店の店員やイラストレーターの仕事を経て、1990年に『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』へ参加することとなる。
『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』をテーマに、『グルグル』を思わせる絵柄で描かれた独特のシュールなギャグは、当時の子供たちをたちまち夢中にした。
勇者に壺へ押し込まれて道具扱いされるクリフト、旅に出ると意気込むも親方に「だめじゃ」とあっさり却下されるトルネコ、大臣をうっかり殺してしまい衝撃を受けるマーニャ&ミネア。どのネタも4コマの中に起承転結が見事にまとまり、読後感が抜群である。また、振り返ってみると勇者がどこか『グルグル』のニケに見えてくるのも微笑ましい。
数ある名エピソードの中でも特に有名なのが、“衛藤さんといえばふんどし”のイメージを決定づけた「落ち着け!」である。
マーニャの腰巻の中を見て動揺する仲間に勇者が冷静さを促すが、実は誰より混乱していた勇者が突然大根を掲げて「ふんどし!」と叫ぶというネタだ。伝説となったこのネタは、大根を掲げる“しぐさ”を覚えるしぐさ書「だいこん」として後に『ドラゴンクエストⅩ』に逆輸入された。
柴田さんや衛藤さんら名作家によるギャグが読者に深く刻まれた一方で、90年代後半にはまた別の魅力を持つ作家たちも加わっていく。1996年から参加した金田一蓮十郎さんも、その流れの中でキャリアを積み上げた作家だ。
金田一さんは96年に高校在学中の16歳にして『ジャングルはいつもハレのちグゥ』でエニックス21世紀マンガ大賞準大賞を受賞し、デビューした実力派。どこか大人っぽくて、同時に可愛らしさもある絵柄で綴られる作品は女子からも注目度が高く、人気を集めていた。
その後、2001年に『ジャングルはいつもハレのちグゥ』がアニメ化され、さらに話題を集めた金田一さんは、2014年に『ドラゴンクエストX』を軸にしたラブコメ『ゆうべはお楽しみでしたね』の連載をスタート。一風変わった恋愛漫画としてヒットし、2019年には本田翼さん主演で実写ドラマ化されることとなった。
多彩な才能が集まった『ドラクエ4コマ』では数々の名エピソードが生まれ、様々なギャグが読者を魅了した。そこで培われた作家たちの感性と個性はその後の活躍へとつながり、今なお時代を越えて愛され続けている。


