「え、そんなものが苦手なの…?」昭和『ウルトラマン』手ごわい怪獣たちが秘めた「意外すぎる弱点」  オニバンバ、オニオンにノイズラーも…の画像
DVD『ウルトラマンタロウ VOL.11』(デジタルウルトラプロジェクト) (C)円谷プロ

 『ウルトラQ』(1966年放送)から始まった昭和『ウルトラマン』シリーズには、バラエティ豊かな怪獣や宇宙人が数多く登場。個性あふれる強敵の襲来に視聴者は心をワクワクさせた。

 多くの怪獣や宇宙人には多種多様な弱点もあり、『ウルトラマン』に登場した「バルタン星人」は火星に存在する物質「スペシウム」に弱く、水のない星から飛来した「ジャミラ」は水を苦手としていた。

 このようにさまざまな弱点を持っていた怪獣や宇宙人だが、中には「まさか、それが弱点なの!?」と思わず驚いてしまうようなケースも存在する。今回はそんなおかしな弱点を持っていた怪獣や宇宙人を振り返っていこう。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■弱点のせいで大金星を逃した「オニバンバ」

 最初に紹介するのは1974年に放送された『ウルトラマンタロウ』の第44話「あっ!タロウが食べられる!」に登場したきさらぎ星人「オニバンバ」だ。

 節分の日、鬼に扮した人間に向かって豆をまく様子を見て激怒する老婆がいた。老婆は豆まきに加わっていた東光太郎がウルトラマンタロウであることに気づき、「宇宙人のくせに同じ宇宙人をいじめるなんて裏切りもはなはだしい!」とさらに怒りを募らせる。

 この老婆の正体は宇宙人のオニバンバで、金縛り糸で相手の動きを止めたり、人間を閉じ込めた繭をこねて豆のように小さくしたりと、さまざまな特殊能力を持っていた。

 ずる賢いオニバンバは、人間の少年・二郎を利用して光太郎の抹殺を画策。光太郎と二郎の兄である一郎を豆の中に閉じ込めて、二郎に食べさせようと目論んだ。

 この作戦は成功寸前までいったが、オニバンバの弱点が災いして作戦は頓挫。その原因となった弱点というのが「豆」だった。

 オニバンバは、人間の老婆の姿になっていたときから豆をぶつけられると退散するほどで、その弱点は巨大化しても変わらず。二郎少年に豆を投げつけられると明らかに嫌がり、金棒を振り回して抵抗していた。

 このときに光太郎と一郎少年を閉じ込めた豆をうっかり金棒で打ち返してしまい、豆が割れて光太郎がウルトラマンタロウに変身するのを許してしまう。

 さらにタロウとの戦いでも豆をさんざんぶつけられて弱体化。最後はタロウに金棒で尻を叩かれて宇宙に飛ばされた。

 悪らつぶりを大いに発揮したオニバンバは、実際に光太郎をかなりのところまで追い詰めた。しかし「豆」を作る能力がありながら、「豆」を苦手とするとは……。弱点の豆さえ克服できていれば、あるいはウルトラマンタロウの抹殺に成功していたかもしれない。

■まさかの生物が弱点!? 思わぬ醜態をさらした宇宙怪獣「オニオン」

 続いてピックアップするのは1974年放送の『ウルトラマンレオ』の第27話「強いぞ!桃太郎! 桃太郎より」に登場した鬼怪獣「オニオン」だ。

 果物が豊富な惑星アップルからオニオンが地球に飛来。惑星アップルと同様に果物が豊富なことに大喜びしたオニオンは町で暴れ回ったあげく、ある青果店を潰して果物を食べ尽くしてしまう。

 そこで怪獣攻撃隊MACが出撃してオニオンを攻撃。MACが撃ち込んだ麻酔弾によってオニオンの行動を制限することに成功する。

 そのとき、オニオン退治に名乗りをあげたのが人間の桃太郎少年だ。桃太郎は祖父母の営む青果店を潰されたため、怪獣に戦いを挑むことを決意。おおとりゲン(ウルトラマンレオ)とともにオニオンに立ち向かう。

 そこでゲンが考案したのが、巨大な桃の中に桃太郎少年を潜ませて接近させる作戦だ。おとぎ話の『桃太郎』に倣い、キジの代わりにニワトリを連れてきた桃太郎少年。そしてオニオンに近づくことに成功すると、オニオンがニワトリの鳴き声に驚いた隙に手にした弓矢で攻撃する。

 これで片目を潰しただけでなく、最後に放った矢はパンツに当たり、オニオンのパンツがずり落ちてしまう。

 実はオニオンはニワトリが大の苦手で、その鳴き声を聞くと角がしおれてしまうほど。惑星アップルでもオニオンを果物に近づけないよう、ニワトリを放し飼いにしていたほどだった。

 結局、オニオンはウルトラマンレオを前にしても、ずり落ちるパンツを気にして戦いに集中できず。最後はウルトラマンレオの「チェンジィングビーム」でリンゴの木に変えられてしまった。

 桃太郎少年がキジの代役として連れてきたニワトリが弱点だったという不運により敗れてしまったオニオン。なんとも締まらない怪獣だったが、そのぶんユーモアに満ちた存在でもあった。

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