スーパーファミコン35周年『クロノトリガー』『ドラクエ5』など…日本ゲーム史に語り継がれる「伝説の4タイトル」の色褪せぬ輝きの画像
スクウェア・エニックス公式サイトより『クロノ・トリガー』(C)1995 SQUARE

 1990年11月21日、家庭用ゲーム機「スーパーファミコン」が発売された。「ファミリーコンピュータ」の後継機として登場し、日本の家庭用ゲーム文化が本格的に成熟していく転換点となったハードだ。

 ファミコン時代に根づいた「テレビゲームの楽しさ」に加え、スーファミではグラフィックや容量が進化したことで、「物語」「音楽」「演出」までもが一気にスケールアップし、ゲームが総合エンターテインメントとして確立されていった。

 当時の少年少女たちは、ブラウン管の中で笑い、泣き、胸を熱くした。発売から長い年月が経った今なお、多くのスーファミ作品が「心に残る体験」として語り継がれているのは、それが単なるゲームプレイではなく、記憶に刻まれた原体験だからである。

 今回は数あるスーファミの名作の中から、特に“ゲーム史に残る瞬間”を生み出した4本を紹介する。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

■『クロノ・トリガー』プレイヤーの心をつかんだ“時を越える演出”

 今年30周年を迎えた伝説的RPG『クロノ・トリガー』(1995年発売)。本作を語るうえで外せないのが、「ドリームプロジェクト」と呼ばれた制作体制だ。

 『ドラゴンクエスト』の堀井雄二さん、『ファイナルファンタジー』の坂口博信さん、そして『ドラゴンボール』の鳥山明さんという、まさに夢のようなコラボレーションから誕生した作品である。

 本作では、時代を超えて仲間と出会い、絶望的な未来を変え、過去を救うという壮大な物語が展開される。単なる冒険ではなく、「選択が未来を変える」という感覚をプレイヤーに直接体験させる構成になっていた。

 中でも、中盤に訪れる主人公の死という展開は、当時のプレイヤーに大きな衝撃を与えた。RPGにおける「主人公は死なない」という暗黙の前提を覆し、物語への没入感を極限まで高めた象徴的なシーンだった。

 マルチエンディングやシームレスな戦闘演出など、システム面の完成度も非常に高く、今なお色褪せない「時を越えた名作」である。

■『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』誕生から結婚まで人生を追体験できる新しいRPG

 1992年に発売された『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』は、スーファミで初めて発売された『ドラゴンクエスト』シリーズ作品であり、「人生」をテーマにした物語構成が大きな特徴である。

 本作の主人公は勇者として生まれていない。幼い頃に父を失い、奴隷となり、成長し、家庭を持ち、やがて親となる。その波乱万丈の人生をプレイヤーが追体験する構成は、当時としては極めて革新的だった。

 特に結婚イベントは社会現象になり、「ビアンカ」と「フローラ」のどちらを選ぶかという選択が大きな話題を呼んだ。この選択にはプレイヤーごとの価値観が反映され、ゲームの外側で活発な議論が巻き起こった。これはゲーム史においても稀な例といえるだろう。

 また、モンスターを仲間にできるシステムも画期的で、『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズなど、後の作品にも大きな影響を与えた。

 そして、多くのプレイヤーの記憶に刻まれているのが、主人公の父・パパスの最期。これは単なるイベントではなく、「親子の絆」と「喪失の重み」をゲームという体験で描き切った、強烈なシーンだった。

 父親の死、結婚といった人生における大きな出来事を描いたことで、本作は今なおシリーズ屈指の名作として語り継がれている。

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