■東宝が生んだ特撮ヒーロー…『電脳警察サイバーコップ』
最後に紹介する『電脳警察サイバーコップ』は、1988年(昭和63年)から日本テレビ系で放送された東宝製作による特撮番組だ。
東宝といえば『ゴジラ』(1954年)や『モスラ』(1961年)など、怪獣特撮映画のイメージが強いが、テレビのほうでも『愛の戦士レインボーマン』(1972年)をはじめ、通称「東宝ヒーロー」と呼ばれる特撮ヒーローを誕生させている。
『電脳警察サイバーコップ』のキャラクターデザインは、宇宙刑事シリーズや『装甲騎兵ボトムズ』などのコミカライズを手がけた漫画家のなかみのる氏が関わり、同作のコミカライズも担当した。
作品の舞台は1999年の未来。世界の中心都市となった「TOKYOシティー」で凶悪化した犯罪に対応するため、警視庁は「0課装甲警察部隊(通称ZAC)」を編成。科学の粋を集めて開発したパワードスーツ「ビットスーツ」を装着したサイバーコップ(電脳警察)たちが、悪の組織デストラップが送り込むシリコン生命体らと戦う物語だ。
ZACのメンバーは美男美女ぞろいで、まるで当時流行したトレンディドラマのよう。中でもヒロインの上杉智子を演じたのはアイドルの千葉美加さんだった。
ZACが着るビットスーツやメカデザインも洗練されていてかっこよく、それぞれのメンバーごとにデザインが異なるだけでなく、装着者の特性を活かした機能を有しているのも新鮮だった。
また、所持するカードをデバイス(ATMや公衆電話でも可)に差し込むことで、都市の地下に張り巡らされたシューターを介して武装入りのアタッシュケースが送られる「ブラックチェンバーシステム」もユニーク。
変身時に大仰な装置を使ったり、コンピューター上での3Dっぽさを線画で表現したりと、斬新なアイデアが多数用いられた映像表現は見ていて楽しかった。
しかし、視聴率は安定していたものの放送日時が途中で変更され、その際に放送を打ち切るテレビ局が出るなど、放送枠に苦しめられることになる。その結果、全36話ながら実質34話が最終回となり、35、36話はリクエストシーンを集めた総集編が放送。それでもキャストによる新規映像が盛り込まれるなど、最後まで視聴者を楽しませてくれた。
いろいろと不遇な面もあったが、『電脳警察サイバーコップ』はさまざまな新しい試みに挑戦し続けた画期的な特撮番組といえるだろう。
昭和には、さまざまなタイプの特撮刑事たちの活躍が描かれてきた。もしもスーパー戦隊シリーズの後番組に「特撮刑事もの」が放送されるのだとしたら、令和の技術でどのような作品が生まれるのか注目したい。


