■苦しまずに死ねる毒とは…「優しい毒」胡蝶しのぶ
鬼殺隊の最高位である柱の1人、蟲柱・胡蝶しのぶ。彼女は小柄な体型ゆえ、柱の中で唯一鬼の頸を斬る腕力を持たない。しかし、薬学に精通している彼女は、その知識を駆使して鬼を殺せる毒を自分で開発した実力者でもある。
しのぶは日輪刀に仕込んだ毒を特殊な形状の刀身で相手に注入して戦う。さらに対峙する鬼の特性に合わせて、その場で毒を調合しているというから驚きだ。突き技に特化した刀で一瞬で毒を調合して戦うなんて、彼女以外の鬼殺隊士には不可能だろう。
そんなしのぶは、那田蜘蛛山で初めて禰󠄀豆子に会った時、炭治郎に「坊やが庇っているのは鬼ですよ」「危ないですから離れてください」と静かに忠告した。
焦った炭治郎が「妹なんです」と必死に訴えると、「まぁ そうなのですか可哀想に」と哀れむ。だが、その直後「苦しまないよう 優しい毒で殺してあげましょうね」と、笑顔で言い放つのだ。そのあまりに無慈悲な微笑みにはさすがの炭治郎も青ざめ、絶句していた。
薬学に精通しているしのぶにとって、苦痛を与えない毒を調合することは容易いのだろう。だが、彼女は“鬼と仲良くしたい”と語る反面、鬼が人間にしてきたことの責任も取らせようとする。そのため、他の鬼に対して「優しい毒」を使用することはなかった。実際に、那田蜘蛛山でしのぶと戦った姉蜘蛛は「蟲の呼吸 蝶ノ舞 “戯れ”」により、毒の刃を体中に刺され、苦しみ悶えながら絶命している。
そう思うと、殺そうとしていたとはいえ、禰󠄀豆子には「優しい毒」を使おうとしてくれたしのぶ。それは、彼女なりの最大限の優しさだったのかもしれない。


