■電車の中の号泣シーンも印象的『いつかまた逢える』

 『いつかまた逢える』は、1995年の7月より放送されたフジテレビ系列の月9ドラマである。

 主人公の望月伸一を演じたのは、本作が連ドラ初主演となった福山雅治さん、そしてヒロインの城崎つゆ美を演じたのは桜井幸子さんだ。

 本作は、高校時代の淡い想い出から始まるラブストーリーである。物語は、上京した伸一が高校の同窓会でつゆ美に再会するところから始まる。

 友人や同僚との間で揺れ動く伸一の恋愛模様を描きながら物語は進んでいき、最後は伸一とつゆ美が結ばれるかと思われた。だが、つゆ美が選んだのは、かつての想い人である荒木勝利(椎名桔平さん)だった。伸一はそんなつゆ美に別れの手紙を残し、1人電車に乗る。

 サザンオールスターズのテーマ曲が流れる車内シーンで、つゆ美との想い出を回想して涙する伸一の姿がとても切ない。手紙を残して1人去り、電車で涙を流すこの場面は『東京ラブストーリー』のラストシーンをなぞっているともいえるだろう。

 伸一は最後の手紙に「いつかまた逢おうな」と書き、ドラマタイトルの伏線を回収している。本作は、相手のことを愛しているからこそそれぞれの道を歩むという、90年代の自立した恋愛観を象徴した作品といえるだろう。

 

 恋愛ドラマといえばハッピーエンドで終わる印象が強いが、愛の形は1つではない。90年代には今回紹介したように、結ばれない愛の物語もあったのだ。

 視聴者にとっては切ないラストとなった作品だが、こうしたドラマは単なる娯楽としてだけでなく、自分の恋愛観や人生経験と重ね合わせて共感できる貴重な作品だったといえるだろう。

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