1990年代のテレビドラマは、多くの視聴者の恋愛観やファッションなどに影響を与え続けてきた。毎週の放送を心待ちにし、あたかも自身が好きな人と結ばれたような幸せな気持ちになった人もいただろう。
しかし、そのすべてが夢のようなハッピーエンドを迎えたわけではない。当時の人気ドラマの中には、最終回で涙なしには見られない別れを選んだ作品もあったのだ。
そこで、当時の視聴者が最終回で思わずもらい泣きをした、切ない別れを選択した名カップルたちを振り返りたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■90年代恋愛ドラマの金字塔だがハッピーエンドではない…『東京ラブストーリー』
『東京ラブストーリー』は、1991年にフジテレビ系列で放送された月9ドラマである。原作は柴門ふみさんの同名漫画で、主役のヒロイン・赤名リカを鈴木保奈美さん、彼女が想いを寄せる永尾完治(通称:カンチ)を織田裕二さんが演じた。
本作は、営業の仕事で地方から都会へ出てきたカンチが、同僚で天真爛漫なリカに終始振り回されながらも、その一途な愛情に強く心を惹かれていく物語だ。しかし、カンチは高校の同級生である関口さとみ(有森也実さん)への想いを断ち切れず、リカとの間で深く葛藤するのである。
最終的にカンチはさとみを選び、リカはカンチの気持ちを優先して身を引く。そして、駅にメッセージを書いたハンカチを残し、1人電車に乗り込む。車内でカンチとの想い出を振り返り、涙が止まらなくなるリカの姿はあまりに切ないものであった。
視聴者の多くはリカの真っ直ぐな愛に共感し、2人が結ばれる結末を願った。しかし、カンチが選んだのは、さとみという、いわば安定感のある女性だった。
3年後、リカとカンチは再会するものの、2人は復縁することはなく物語は完結する。リカが「バイバイ カンチ」と書いたハンカチや、カンチのことを想い車内で涙する姿は、ドラマ史に残る心を締め付けられる別れのシーンとなった。
■直也はどちらを選ぶのか…姉妹が織りなす衝撃作品『想い出にかわるまで』
1990年にTBS系列で放送された『想い出にかわるまで』は、結婚を間近に控えた姉妹と1人の男性が織りなす、90年代の愛憎劇を代表する作品である。
主人公は商社に勤めるキャリアウーマン、沢村るり子(今井美樹さん)。るり子はエリート商社マンの高原直也(石田純一さん)と婚約し、順風満帆な人生を送るはずだった。しかし、些細な心のすれ違いからるり子が結婚を延期している間に、妹の沢村久美子(松下由樹さん)が直也に接近。ついに関係を持ち、姉の婚約者を強引に略奪してしまうのだ。
愛する人を家族に奪われたるり子と、略奪者でありながら罪の意識に苛まれる久美子、そしてその間で揺れ動く直也。多くの視聴者は、“最後はなんだかんだで、るり子と直也が復縁する”と予想したことだろう。しかし、直也は最終的に久美子と家庭を持つという衝撃の結末を迎える。
その後、2人は偶然街中で再会し、それぞれの似顔絵を交換して別れる。直也がるり子の似顔絵なんかを自宅に持ち帰ったら久美子が劣化のごとく怒りそうだが……それは想い出として手元に残しておきたかったのかもしれない。
男性を巡る姉妹間の壮絶な略奪バトルという、当時としては衝撃的なテーマを扱った本作。結ばれるはずだった2人が別れる結末は、まさに視聴者にとっても強烈な“想い出”として残ったことだろう。


