■新旧ガールフレンドとの会話
アムロという人物を探るうえで、アニメ『機動戦士ガンダム』と『逆襲のシャア』の間を描いたアニメ『機動戦士Zガンダム』での活躍は見逃すことができない。
一年戦争後アムロは長い停滞期間を経て、かつての仲間「フラウ・ボゥ」や「カツ・コバヤシ」、そして親密な仲になった「ベルトーチカ・イルマ」らの激励を受けて再び戦場に立つことになる。
しかし、グリプス戦役においてはアムロが宇宙に出ることはなく、地球にとどまった。そして新劇場版『機動戦士ZガンダムIII 星の鼓動は愛』の中では、テレビアニメ版にはなかったアムロのラストシーンが描かれている。
宇宙で繰り広げられた戦いを地球で観測していたフラウたちはグリプス戦役が終わったと判断し、建物の外にいたアムロに「終わったみたいよ」と伝える。このときアムロの隣にはベルトーチカがいた。
そしてアムロは宇宙での戦いが終わったことを地球にいながら感じ取っていたのか、フラウに「そうだろう」「静かになったものな」と返答し、再び宇宙を見上げる。それが『Zガンダム』のアニメ作品で描かれた、アムロとフラウの最後の会話シーンだった。
またアムロの足跡をキッカ・コバヤシがたどる形で描かれる才谷ウメタロウ氏の漫画『機動戦士ガンダム ピューリッツァー -アムロ・レイは極光の彼方へ-』(KADOKAWA)では、この頃のアムロとの会話をベルトーチカが回想する場面が描かれている。
アムロは「人類全体がニュータイプとなるまで戦い続けるしかない」「英雄だと言われてもカミーユとフォウ・ムラサメの悲劇ひとつ止めることはできない」とベルトーチカに語っており、『逆襲のシャア』でのシャアとの最後の会話にもつながりそうな無力感を抱いていたことが明かされた。
またベルトーチカは、アムロと距離をとることにした理由として、彼は女性に対しララァ・スンを求めていたと語っていたのも印象的である。
■セイラが語った「アムロとの最後」
先述の『ピューリッツァー』では、『機動戦士ガンダム』でのアムロの仲間であり、シャアの実妹であるセイラ・マスが、初代『ガンダム』のラストシーンについて語る場面もある。実際『機動戦士ガンダム』の中でアムロが最後に肉声で会話を交わしたのはセイラだった。
『ガンダム』のラストにおいて、アムロとシャアが生身でも激しく争う姿を見たセイラは、「あの時の二人はララァを巡って戦っていた」と語る。
さらにセイラは「ララァの声をずっと聞き続けていたのだとしたら、それは慰めなのか呪いなのか」とつぶやいており、その場にいなかったはずの『逆襲のシャア』での二人の会話を察しているかのような言葉を残していた。
『機動戦士ガンダム』の主人公であり、シリーズ通して圧倒的な存在感を示したアムロ・レイ。彼にまつわる最後の言葉を中心に振り返ってみた。こうして彼に関するヒントを紐解いてみると、シャアだけでなく、アムロにとってもララァの存在は相当大きかったように思える。
ガンダム好きの皆さんの目には、『逆襲のシャア』で消息不明となったアムロ・レイという男はどのような人物に映っただろうか。


