■師匠の霊力を継承する極限の試練『幽☆遊☆白書』霊光玉

 冨樫義博氏の『幽☆遊☆白書』における師弟といえば、主人公・浦飯幽助と「霊光波動拳」の師範・幻海だろう。この2人もまた、互いに命を懸けた奥義伝授をおこなっている。

 霊光波動拳の奥義とは、師匠が弟子に霊気を継承する「霊光玉」だ。師匠のエネルギーを凝縮したこの球体は太陽のように熱く、弟子はこれを肉体に受け入れる試練を経て、初めて正当伝承者となることができる。

 コミックス第9巻「最大の試練!!の巻」では、戸愚呂弟に勝つため、幽助は霊光玉を受け入れる決意をする。しかし、幻海のすべてとも言える霊気に彼の体が耐えきれず、血を噴き出しながら想像を絶する苦痛を味わうこととなった。

 一方、幻海も自身の霊気の大半を霊光玉に込めたため、継承後は一気に弱体化。後の戸愚呂弟との決闘では本来の力を発揮できず、幽助の目の前で命を落としている。幽助にとっては命がけの試練であり、幻海にとっては決死の覚悟でおこなわれた奥義伝授だったのだ。

 霊光玉の試練に耐え、師匠の死も乗り越えた幽助は、以前とは比べものにならない力を得る。決勝戦では、80%のパワーで迫る戸愚呂弟にしっかり立ち向かい、得意の霊丸も今までにない破壊力を見せつけた。

 

 こうして名作少年漫画を見てみると、奥義伝授そのものが物語の大きな見せ場になっていることに気づかされる。

 強い絆で結ばれた師弟が互いの命をかけて「奥義の継承」という目的に取り組む姿は、それだけで魅力的であり、読者を惹きつけてやまない。

 そして、命懸けの試練を経て習得されるからこそ、奥義の威力にも絶大な説得力が出て、後の戦いがより盛り上がる。師弟の絆と、奥義を手にするキャラクターの成長を同時に描く、まさに一石二鳥の作劇だといえるだろう。

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