■中条さんに合っているとの声も多数!サバサバ女社長“柏倉椿”

 物語本編には第3話から登場した中条あやみさん演じる柏倉椿も、勝男を支える女性の一人だ。勝男との出会いは、南川に押されて始めたマッチングアプリ。初対面から勝男を翻弄する小悪魔っぽさがあり、サバサバした性格と華やかな美貌を兼ね備えた若き女性社長である。

 その一方、家デートで勝男が作ったおでんに対して見せたノンデリカシーさは衝撃的だった。「性格が悪い!」と怒る勝男に間髪入れず「なんだと!?」と言い返すあたりからは、椿の気の強さがよくわかる。とはいえ、感情をストレートに出し合えるところは勝男と椿の相性がいい裏返しだ。

 勝男が自分と椿を重ねて自己反省したことで、二人はその後、心の内を語り合い、失恋仲間として意気投合。以来、悩みを素直に話せる気の置けない友人となる。

 新恋人フラグかと思いきや爽やかな友情展開になったことは視聴者にも好印象で、「椿、めっちゃいい」という声が続出した。たしかに、はっきり言いながらも心に寄り添ってくれる椿は友達にいてほしい女性だ。

 変化を続ける勝男にとって、椿がたびたび投げかける言葉の数々は価値観を変える大きなきっかけとなっていく。「女友だちができて嬉しいのはなんでだろう」と言う勝男に対し、椿が「人類のもう半分も友達になれる可能性があるって知ったからじゃない?」と告げるシーンもその一つだ。サラッと言ったこの言葉は狭い価値観にとらわれていた勝男の心を揺さぶり、視聴者にも視野を広く持つことの大切さを伝えてくれる。

 さらに第5話では、尊敬しつつも劣等感を抱く兄・鷹広(塚本高史さん)との関係に悩む勝男に優しく寄り添う。勝男が兄の好物である鶏天を作って心を通わせられたのは、「強いと思われている人って、本当はただそういうふうにしか生きられなかっただけかもしれない」という椿の言葉があったからこそである。

 その言葉には、強く生きるしかなかった兄の姿を社長として気を張り続ける自分自身を重ねながら、兄を思いやる椿の優しさが込められていた。そう語れるのは、彼女自身が自分の弱さと向き合いながら生きてきたからこそ。このシーンは視聴者の心にも響き、「椿のセリフ深い」「私も同じだから刺さった」という声が多数寄せられていた。

 カッコイイ女ながらかわいらしいところもある椿は、中条さんの雰囲気とにもハマっており、原作の椿よりもむしろ美しさは増していながらも、性格のサバサバ感はイメージそのままである。中条さんは、こういった明るくさっぱりした役柄がよく似合う。

 ドラマ『君と世界が終わる日に』シリーズで長らく恋人役を演じていたこともあり、竹内涼真さんとは演技の息もぴったりだ。『きみセカ』の視聴者からすると恋人だった二人が友人として楽しそうにしている姿に不思議な感覚になるが、長く共演していたことで掛け合いもナチュラル。楽しそうな二人を見ていると、こちらまでほっこりした気持ちになるというものである。

 本作において、椿と南川の存在は勝男の成長を支える大きな軸となっており、彼女たちが発する言葉は物語に深みを与えている。ますますバージョンアップを続ける勝男と今後どんな関係を築いていくのか、引き続き物語から目が離せない。

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