■“神の化身”である少年の使命『百獣戦隊ガオレンジャー』有岡大貴

 人気グループ・Hey! Say!JUMPのメンバーとして知られ、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-THE THIRD SEASON』(2017年)や映画『シン・ウルトラマン』(2022年)など、俳優としても幅広く活躍する有岡大貴さん。彼のキャリアの出発点の1つが、2001年から放送された『百獣戦隊ガオレンジャー』であることはご存じだろうか。

 ジャニーズ事務所(当時)に入所する前、当時10歳の有岡さんは、第32話「三匹が喰う!!」から登場する謎の少年・風太郎を演じた。

 茶色いキャップを逆さにかぶり、好奇心に満ちた笑顔の奥には、どこか大人びた影がのぞく。彼の魅力の1つである“つぶらな瞳”は、この頃から変わらず印象的だった。

 風太郎はその後もたびたび登場し、物語の節々でガオレンジャーたちを導き、そして時に敵対する存在として描かれる。純粋さの奥に神秘性を宿すキャラクターを通して、有岡さんは子役ながらも静かな強さと複雑な感情の揺らぎを表現していた。やがて、風太郎の正体が百獣の神・ガオゴッドの化身であることが明かされる。

 最終章では、地球の危機を前に再び立ち上がり、「この星でそんな勝手はさせない!」と叫んで戦いの場へ向かう。巨大な神獣の姿となり、ラスボス・センキとの壮絶な決戦に挑むが、激闘の末に力尽き、風太郎の姿へと戻ってしまう。

 砂のように崩れ落ちながら消えていくその瞬間、あどけない表情の奥には、役に向き合う真摯な姿勢が静かににじんでいた。

 

 『スーパー戦隊シリーズ』は、ヒーローを演じる若手俳優の登竜門として広く知られるが、同時に子役たちにとっても、その才能を磨く大きな成長の場だった。

 今回紹介したように、かつてヒーローの世界で輝きを放ち、巣立っていった子どもたちが、いまや日本の映像界を支える存在となっている。その事実こそが、長きにわたり続いてきた本シリーズの真価を物語っているのではないだろうか。

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