■あなたもきっと、ママになる!?『ちゃんと吸えない吸血鬼ちゃん』
ふたつ目の作品は、二式恭介さんの同名漫画が原作となった、『ちゃんと吸えない吸血鬼ちゃん』。クラスの人気者で吸血鬼の石川月菜と、モブ的存在の大鳥辰太が織りなす、「甘やかし餌付けコメディ」である。
妖怪や幽霊など様々な者たちが暮らしている樫ノ木台高校に転校してきた吸血鬼、石川月菜。クールなふるまいと美貌で周りから羨望のまなざしを向けられるも、実は「血を吸うのがめっちゃ下手」というドジな一面が発覚する。そんな彼女のため、モブ顔の大鳥辰太は「吸血の練習台」として、月菜に血を吸われることで触れ合っていく。
序盤こそ、カッコよくて高貴な存在としてふるまう月菜だが、血を吸えなくてお腹がすくと、デフォルメされたぬいぐるみのように変貌してしまう。声も張りがなく口調も一気に幼くなり、そのたびに大鳥に泣きつくのだが、これがたまらなく可愛いのだ。
例えば、3話で描かれたバスケの試合にて、華麗にダンクシュートを決めるも、その後空腹でベンチに横たわり「うぅ……」と泣いてしまったり、遊びに行く準備を忘れて駅でひとりアタフタしてしまったりと、デフォルメの姿も相まって、こちらの庇護欲をかき立てるシーンが存分に描かれる。その様子に視聴者も「ママになっちゃう」「ちっちゃくなったルナかわいすぎるぅ~」「守りたいこの笑顔!」と、月菜の一面に癒される声があふれる。
また、大鳥やクラスメイトたちは、そんな月菜のドジな一面をすんなり受け入れ、小動物のように可愛がる。彼女をとりまくのが、とにかく性格の良いキャラクターばかりというのも、安心して観ることができるポイントだ。
一方で、自分の一面を隠すようになった月菜の過去の体験も示唆されており、それは今後描かれるのかもしれない。ポンコツ具合が微笑ましい、甘やかしコメディ。次はどんな月菜の一面が見られるのか楽しみだ。


